Corporate & Tax Global Update Vol. 96(2024年7月号)
米国財務省が中国関連の先端技術への対外投資を制限する規則案を発表、OECD-IFがPillar 1-Amount Bに関する追加ガイダンスを公表等の最新情報をお届けします。
主要記事
グローバル
- グローバル:OECD-IF 、Pillar 1-Amount Bに関する追加ガイダンスを公表 2024年6月、OECDの包括的枠組みは、Amount Bに関する追加ガイダンスを公表した。今回公表された追加ガイダンスは、2024年2月の報告書において残された実務的な諸点に関して言及するものである。
- グローバル:OECD 第二の柱 第四次 Administrative Guidanceの公表 2024年6月17日、OECD/G20のBEPS包括的枠組みが、GloBEルールについての第四次Administrative Guidance及びQDMTTセーフハーバーに関するQ&Aを公表した。本稿ではその大要を紹介する。
アジア
- マレーシア:IP譲渡を伴うグローバル再編に関する課税処分に対する納税者勝訴判決 近時、マレーシア内国歳入庁による処分に対する税務訴訟において納税者側勝訴とする重要な判決が下された。当該判決では資本と所得を区別するための基準及び長期化した税務調査に対する時効条項の適用関係について明確な基準が提示されている点で重要性が高い。
- ベトナム:新労働組合法案の公表 ベトナム労働総同盟(VGCL)は、現行の2012年労働組合法に代わる新たな労働組合法案を公表した。新法案では、企業における労働者組織の導入、外国人労働者による労働組合加入、労働組合による監督権の拡大などが取り上げられている。
- ベトナム:新消費者法に関する指針を示す消費者令の公布 2024年5月16日、2023年消費者法に関するガイダンスを提供する 政令第55/2024/ND-CP号を公布した。同政令は、ベトナムの消費者保護を強化し、多様な商業環境を規制することを目的とするもので、7月1日に発効し、特に、遠隔地取引、デジタルプラットフォーム、インフルエンサーなどが重要な役割を果たすようになった現在の商取引に対応するものとなっている。
米州
- 米国:米国財務省、中国関連の先端技術への対外投資を制限する規則案を発表 2024年6月21日、米国財務省は、2023年8月9日付大統領令第14105号に基づき、中国と関連があり、3つの特定技術分野(半導体・マイクロエレクトロニクス、量子情報技術、人工知能(AI))に従事する企業への投資を禁止し又は届出を義務付ける規則案を発表した。当該規則案については2024年8月4日までパブリックコメントを募集し、最終的な規則は2024年第4四半期又は2025年初頭に発表される見通しである。
欧州
- 英国:ボランタリークレジットがVATの課税対象に 英国HMRC(Her Majesty’s Revenue and Customs、関税消費税庁)が、ボランタリーカーボンクレジットのVATの取り扱いについて、これをVATの課税対象取引に該当することを規定した新たなガイダンスを公表した。不確定要素が少なくなかったカーボンクレジットの税務上の取り扱いが明確化されることは歓迎される。
- ドイツ:違法なロビー活動 ― 汚職撲滅のための新たな刑事犯罪 2024年6月18日、ドイツでは不適切なロビー活動という新たな刑事犯罪が導入された。議員による省庁等の公的機関での有償のロビー活動が刑事訴追の対象となる。企業は、議員に対する講演料やコンサルタント料、企業役員としての報酬の妥当性を見直すことが不可欠である。
ESG/Sustainability
- グローバル:ISSBがサステナビリティ開示に関する新たな作業計画に着手 IFRS財団会議において、ISSBが今後2年間の作業計画に着手し、その作業計画に関する「フィードバック・ステートメント」を公表することで、サステナビリティ報告の状況をさらに整合させることが発表された。