外国補助金規則(FSR)の適用開始から1年が経過し、欧州委員会は、外国補助金がEU域内市場を歪めるかどうかの評価手法に関し、初めてとなる指針を示す作業文書を公表した。

FSRの目的は域内市場における競争の公平性を確保することにあり、欧州委員会は、外国補助金と域内市場における実際の又は潜在的な歪みとの関連性を立証しなければならない。この点、FSR第5条第1項で「最も歪曲的である可能性が高い」とされている外国補助金 は歪曲的であると推定され、補助金の受領者側に歪曲的ではないことを証明する責任がある。債務又は負債に対する無制限保証は「最も歪曲的である可能性が高い」とされる外国補助金の1つであり、アラブ首長国連邦の通信会社による買収に係る詳細調査(買収に関するものとしては初めての詳細調査事案)において取り上げられている。作業文書では、欧州委員会がこの概念を広く解釈することが確認されている。

FSR第5条第1項が定める外国補助金の恩恵を受けていない大半の多国籍企業の場合、FSRに基づく届出により欧州委員会が実質的な懸念があると考えるに至る可能性は低いであろう。

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