Corporate & Tax Global Update Vol. 104(2025年3月号)
英国におけるジェンダー及び婚姻についてのオンライン投稿を理由とした解雇が差別であるとした控訴裁判所判決、米国第二次トランプ政権の税制政策等の最新情報をお届けします。
主要記事
アジア
- ベトナム:2026年施行を目指す新破産法案の公表 人民最高裁判所は、現行の2014年破産法を改正する破産法案を公表し、パブリックコメントを求めている。破産法案は12章、183条で構成され、国際倒産を含み、複雑化する倒産手続の処理の改善を目指すものである。パブリックコメントに基づく更なる修正を経て、2026年に施行される予定である。
- ベトナム:移転価格税制を改正する新政令 融資残高が一定の基準を超えると、貸し手と借り手の間に関連者関係が成立し、移転価格税制の対象になる、または過去に否認された利息費用控除が遡及的に控除できるケース等が公表された。
米州
- 米国:第二次トランプ政権の税制政策 2025年1月の大統領就任式により、トランプ大統領の2期目が幕を開けた。本稿は、第二次トランプ政権の税制政策を概説し、その実現可能性と個人及び法人への影響を評価する。
欧州
- 英国:ジェンダーおよび婚姻についてのオンライン投稿を理由とした解雇が差別であるとした控訴裁判所判決 控訴裁判所は、ジェンダーに批判的な信条と同性婚に関する信条を表明したソーシャルメディアへの投稿を理由に従業員を解雇したことは不相応に過剰であり、従って差別的であると判断した。本判決は、相反する保護されるべき信条を衡量する法的テストを確認するものであり、限られた客観的に正当化される例外を除き、従業員には宗教的または哲学的信条を表明する権利があるという基本原則を明確に示すものである。
- ベルギー:減資、配当のための貸付に係る利息の損金算入性に係る最近の判例 ベルギーでは、ここ10年間減資、配当のための貸付に係る利息の損金算入性について特別税務調査による否認事例が相次いでいたが、最近ゲント高裁が2件納税者有利の判決を下した。
中東
- アラブ首長国連邦:2023年競争法に基づく企業結合規制の届出閾値 アラブ首長国連邦内閣は、2025年4月1日に施行される新たな企業結合規制の閾値を明確化する、2025年決定第3号を発表した。
ESG/Sustainability
- EU:コーポレート・サステナビリティ報告指令(CSRD)に関する最新の動向と「サステナビリティ規制簡素化法案」の発表 欧州理事会及び欧州議会は、2025年2月7日、EUサステナビリティ報告基準のうち、セクター別基準とEU域外企業向けの基準に関し、採択期限を2年間延期した。また、欧州委員会は、同月26日、サステナビリティ規制に対する改正案を発表した。改正案が採択された場合、CSRD、CSDDDを含む各規制の適用開始時期や適用対象範囲が緩和されることになる。