2015年ミャンマー競争法が今日から施行される。ただし、現時点で法の施行規則は公表されておらず、ミャンマー競争法委員会(以下、「競争法委員会」)も組成されていない。競争法委員会が組成されるまでの間は、商務省に設置される競争政策局が競争法違反案件に対応する。

禁止行為の概要

本日から以下に述べる行為は法律により禁止される。

  • 競争を制限する行為の禁止:カルテル、垂直的協定、支配的地位の濫用などの競争制限をもたらす一方的な行為がこれにあたる。
  • 独占の禁止:法は、市場の独占につながるような行為をすることを禁じている。現時点では何をもって独占と定義するのかその閾値が明らかにされていない。
  • 不公正な競争の禁止:誤解を招くようなまたは欺瞞的な広告の禁止に代表されるような消費者保護のための規定、価格差別・略奪的価格設定などの垂直的競争制限を禁ずる規定、および、排他的取引などの水平的競争制限を禁ずる規定がこれにあたる。
  • 企業結合規制:企業結合規制は、合併、買収、ジョイントベンチャーの組成その他あらゆる企業間の協業に適用される。施行規則において、いかなる場合に競争法委員会への届出が必要になるかを含め、閾値や届出手続が規定される予定である。

罰則

競争法への違反があった場合、罰金(個人または法人が対象)または懲役(関与した個人が対象)の制裁がありうる。主な罰則の程度は下記のとおりである。

  • 競争制限行為:3年以下の懲役または(約)11,000米ドル以下の罰金
  • 私的独占行為、市場支配力の濫用、略奪的価格設定および一定の不公正な取引方法:2年以下の懲役または(約)7,000米ドル以下の罰金
  • 消費者に対する犯罪および紛らわしい取引方法:1年以下の懲役または(約)4,000米ドル以下の罰金
  • 競争法委員会への非協力:3か月以下の懲役または(約)75米ドル以下の罰金

今とるべき対応策

施行規則もなく競争法委員会も組成されていない段階で、企業結合規制を現実に運用するのは難しいと思われる。しかし、法の施行日以降、施行規則が制定されるまでの間に行われた競争法違反行為については、将来的に訴追の対象となる可能性があることには留意すべきであろう。また、競争法委員会の組成前においても、商務省に対して違反の報告を行うことができるとされている点には注意を要する。以上から、企業は法に抵触する懸念のある条項が含まれる契約の見直しや、コンプライアンス・プログラムをミャンマー競争法に対応するものに変更・拡張することを検討する必要がある。

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