2021年4月28日、地域的な包括的経済連携協定(RCEP)が参議院本会議において承認されました。既に同月15日に衆議院本会議でも可決されており、日本の批准に向けた国内プロセスは事実上終了しました。今後、必要な手続を経た上で、批准書がASEAN事務総長に寄託されることになる見込みです。

2020年11月15日に、日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、ASEAN10か国の計15か国により署名された地域的な包括的経済連携協定(RCEP)は、世界の国内総生産の約30%(26兆 3000億米ドル)、世界人口の約30%(23 億人)を占める世界最大の地域自由貿易協定(FTA)です* 。同協定は、少なくとも6か国のASEAN加盟国と 3か国の非 ASEAN加盟国が批准書をASEAN事務総長に寄託した後、60日後に正式に発効するものとされているところ(20.6.2条)、現時点までに、シンガポール(4月9日に批准)、中国(4月15日に批准)、タイ(2月9日に国会承認)などが国内承認プロセスを終えており、今後の他の署名国の批准状況次第では、早ければ年内にも同協定が発効する可能性があります。

事業者は、RCEP の正式発効に向けて、新たな特恵市場、コスト節約、サプライチェーンの最適化の観点から RCEP が何らかの機会を提供するものかどうかを戦略的に検討・分析し、必要に応じ、そのような機会を利用する対応が求められる。

*同協定の概要については、昨年12月15日付の弊所クライアントアラートを参照