CCSの現状と動向 ― CCS長期ロードマップ検討会中間取りまとめ案を踏まえて
日本では2016年5月に閣議決定された地球温暖化対策計画において、2050年までに80%のCO2削減を目標にしていたが、2020年10月には、「温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会を目指す」ことを宣言した。また、2020年3月に公表された地球温暖化対策推進本部の決定では、パリ協定に基づき「2030年度に、温室効果ガスを2013年度比26%削減とする」としていたが、2021年4月には、菅首相(当時)が「2030年度の削減目標について46%削減することとし、さらに50%の高みに向けて、挑戦を続ける」ことを表明した。この新しく設定した目標達成のため、CO2排出量削減に向けた取組が喫緊の課題になっている。なかでも、CO2削減のために必要不可欠とされている「CCS(Carbon Dioxide Capture & Storage(二酸化炭素回収・貯留技術))」が大量の排出削減目標を達成するための重要な技術としてあらためて認識されるようになっている。
こうした中、CCSの社会実装に向けて、技術的確立・コスト低減、貯留適地開発や事業化に向けた環境整備が課題となっており、2021年10月に策定された第6次エネルギー基本計画において、長期ロードマップを策定し、課題解決に向けた取組を官民で連携して進めていくことが明記された。経済産業省においては、2022年1月28日から「CCS長期ロードマップ検討会」(以下「本検討会」)」が立ち上げられた。本検討会は、2022年1月から毎月開催され、5月11日の第5回検討会において、「2030年、2050年のロードマップ検討会中間とりまとめ案(案)」(以下「中間とりまとめ案」)が資料として公表された。なお、本検討会は、5月27日、「中間とりまとめ」及び「中間とりまとめ参考資料」を公表した。
本稿では、これまでの本検討会での検討結果を踏まえた上で、中間とりまとめ案をもとに、CCSの現状の課題を概観したうえ、今後の動向を探る。