Corporate & Tax Global Update Vol. 56(2021年3月号)
東京証券取引所の流通株式の定義の見直し、英国の税率の引き上げによる本邦外国子会社合算税制(いわゆるタックスヘイブン対策税制)への影響等の最新情報をお届けします。
主要記事
日本
- 日本:東京証券取引所:流通株式の定義の見直し 東京証券取引所は、2022年4月4日より、流通株式の定義の変更を予定している。上場株式の流動性を向上させるとともに、所謂「安定株主」以外の株主による株式保有を増加させ、上場会社の経営者と機関投資家との間の建設的な対話の基盤を確保し、上場会社のコーポレート・ガバナンスの実効性を高めることが期待されている。
- 米国:第4巡回区控訴裁判所、私人が提起した企業結合に係る訴訟で問題解消措置としての資産売却を認める 2021年2月18日、米国第4巡回区控訴裁判所は、私人である原告が反競争的な企業結合により損害を受けたとしてその是正を求めていた裁判で、初めて問題解消措置としての資産売却を命じる判決を支持する判断を下した。本件は、司法省反トラスト局が2度にわたり異議申立てをしない旨の決定をした買収について、買収完了の数年後に取引先が異議を申立てた事案である。
- 中国:国家外貨管理局が移転価格調整金の支払いに関するQ&Aを公表 国家外貨管理局は2021年1月19日付で「サービス貿易外国為替管理政策Q&A(パート2)」を公表した。本Q&Aにおいて移転価格調整金のための国外への送金と国外からの受取を処理するための銀行手続について明確化を行った。本稿では本Q&Aの概要と影響について解説する。
- マレーシア:MACC法第17A条に基づく商業賄賂に関する企業の起訴事案 マレーシア腐敗防止委員会は、2021年3月18日、マレーシア腐敗防止委員会法第17A条に基づいて、下請契約を獲得するために支払った商業賄賂に関して、企業とその取締役を起訴した。2020年6月1日に施行された改正法第17A条の下で企業が起訴された最初の事案であり、腐敗防止委員会の執行方針を明確にするものである。
- 英国:英国税制改革 ー 税率の引き上げによる本邦外国子会社合算税制(いわゆるタックスヘイブン対策税制)への影響 英国の税制改正の内容が公表された。改正案の中には法人税が25%まで引き上げられるという内容も含まれており、これにより本邦多国籍企業の英国子会社に対するタックスヘイブン対策税制の適用関係に影響を与える可能性が生じている。
- ベルギー:デジタル・プラットフォーム運営者に課される「軽減された」DAC7報告義務 ベルギーは、EUにおけるEU税務行政協力指令の改正(DAC7)の導入を見越して、プラットフォームの運営者に対して報告義務を導入した。 本規定は2021年1月9日に発効しており、対象となるプラットフォーム運営者は早急に対応を検討する必要がある。