Corporate & Tax Global Update Vol. 17(2017年12月号)
本号では、特別企画として米国税制改正法案の成立について取り上げます。その他、中国の不正競争法改正の概要や TPP-11 など、国内外の最新情報をお届けします。
特別企画
- 米国税制改正法 (The Tax Cuts and Jobs Act)が成立 ― 日系多国籍企業への有利な影響と不利な影響12月22日付でトランプ米大統領は、法人税率の引き下げを柱とする税制改正法案に署名し、法律が成立した。1986年以来と言われる大規模な税制改正(法人税率の引き下げ、輸出所得優遇税制、外国子会社の超過収益への課税、無形資産の米国回帰奨励策等)となっており、日系多国籍企業にも少なからず影響 (有利な影響と不利な影響)が生じ、対応が必要になると考えられる。
日本
- 民法の改正法、施行日が2020年4月1日に決定 ― 約120年ぶりの大改正政府は閣議決定により、民法の債権関係の規定を大幅に改正する法律の施行日を2020年4月1日(一部の規定を除く。)と決定した。この改正法には、契約実務に影響を及ぼす可能性のある内容が含まれている。
アジア
- 中国:不正競争防止法の改正 ― 商業賄賂の定義の明確化1993年以来初となる不正競争防止法の改正では、商業賄賂について、その範囲が拡大され、罰則が大幅に引き上げられるなど、中国に展開する企業にとって無視できない改正事項が多い。本稿では、主な改正項目について概説するとともに、企業がとるべき対応策を簡単に紹介する。
- ベトナム:2015年成立の改正刑法の施行時期が2018年1月1日に2015年改正刑法の施行時期が2018年1月1日とされた。重要な改正事項としては、営利法人の刑事責任の是認、汚職関連規制の適用を民間部門に拡大、コンピュータネットワーク等を通じたサービスの提供を促進するための制度改正、マルチ商法を伴う事業活動に対する規制強化が挙げられる。
中東
- アラブ首長国連邦:アラブ首長国連邦商事会社法外資規制の緩和アラブ首長国連邦において、外資規制の緩和に関する政令が施行された。本政令では、政府閣僚会議に、特定の会社及び業種につき、アラブ首長国連邦本土における51%の現地資本要件を免除する権限を新たに認めている。
米州
- アルゼンチン:汚職に関する会社の刑事責任を定めた法律が成立2017年11月8日、アルゼンチンの国会において、汚職に関する会社の刑事責任を定めた法律が成立した。新法は、贈収賄(国際的なものも含む)等の汚職に関与した会社に対する各種刑罰を定めており、アルゼンチンの法制を国際的な基準に合わせることになると期待されている。
欧州
- 英国:欧州委員会が英国のCFCルールにおけるファイナンスカンパニーに関する除外規定に対する調査実施を公表2017年11月英国CFC税制におけるファイナンスカンパニーに関する除外規定につき、EU委員会から異議が出された。当該除外規定が違法な国家援助に該当すると判断された場合、当該規定の恩恵を受けていた会社に対する最大10年の遡及課税がなされる可能性がある。
TPP
- TPP-11 大筋合意紆余曲折の末、2017年11月9日、米国を除く11カ国の間で、環太平洋パートナーシップ(Trans-Pacific Partnership)協定(TPP)が、TPP-11というかたちで大筋合意に至った。大筋合意までの経緯と今後への影響を概説する。