Corporate & Tax Global Update Vol. 72(2022年7月号)
「トルコ イスタンブール金融センターの設立 及び日本国税庁による「移転価格事務運営要領」(事務運営指針)の一部改正」等の最新情報をお届けします。
主要記事
日本
- 日本:外国会社の日本における代表者に日本子会社等の法人を選任することが可能に 法務省は令和4年6月24日付通知(法務省民商第307号)によって、外国会社の日本における代表者に、法人を選任することも可能であることを確認した。今後、外国会社が日本における代表者として日本子会社等を選任する例が増えると考えられる。
- 日本:国税庁が「移転価格事務運営要領」(事務運営指針)の一部改正を公表① ~費用分担契約に関する改正~ 2022年6月10日付で、国税庁は「移転価格事務運営要領」(事務運営指針)の一部改正を公表した。本改正は、主に①2017年OECD移転価格ガイドラインにおいて変更された第8章の費用分担契約、並びに、②2020年にOECDで承認され2022年OECD移転価格ガイドラインの第10章として盛り込まれた「金融取引ガイダンス」に関して、その内容の一部を反映した改正となっている。本稿では左記①の費用分担契約に係る改正の概要について取りあげる。
- 香港:国際倒産における債務整理計画(スキーム)に関する司法判断 2022年5月27日、香港の裁判所は、バミューダ法に基づき設立されたRare Earth Magnesium Technology Group Holdings Limitedの債務整理計画を承認し、国際倒産における債務整理計画の利用に関して重要な判示を行った。
- 香港:国外源泉所得免除制度に係る改正 香港では、国外源泉所得免税制度の適用に一定の制限をかける改正を行うことが予定されている(2023年1月1日施行予定)。日系多国籍企業についても、香港法人に特許権等以外の無形資産を保有させている、他の軽課税国に所在する法人の株式を保有させているといったケース等については、対応を検討する必要があると思われる。
- 欧州:英国とルクセンブルクの間の改正租税条約が署名される~不動産投資家への影響について 英国とルクセンブルクの新しい租税条約が2022年6月7日に署名された。新しい租税条約では、英国の不動産に投資するルクセンブルクの団体に対する英国での課税が規定されるなど、重要な改正が含まれており、ルクセンブルクのビークルを通じて投資を行う金融機関投資家、年金投資家に影響を及ぼす可能性がある。
- ドイツ:ドイツにおけるEU労働条件指令の実施 ドイツ連邦議会は、EU労働条件指令(2019/1152)を実施するための法案を可決した。本法改正の目的は、労働条件の透明性と予測可能性を高めることにある。本法改正は、2022年8月1日から施行される。
- トルコ:イスタンブール金融センターの設立 2022年6月28日、トルコ共和国において、イスタンブール金融センターの活動の大枠と、そこで適用されるインセンティブ、税制上の優遇、特例などを定めるイスタンブール金融センター法が公布され、即日施行された。本法律は、イスタンブールを世界の金融ハブにすることを目的とし、金融業界をイスタンブールに惹きつけるための業務上及び金銭的なインセンティブを定めている。
- 日本:人的資本可視化指針(案)の公表 内閣官房 非財務情報可視化研究会において「人的資本可視化指針 (案)」が公表された。本指針案は、人的資本の可視化の背景及び指針の役割を踏まえたうえ、人的資本の可視化の方法から、有価証券報告書における対応や任意開示の戦略的活用を含めた人的資本の可視化に向けたステップを提示している。
- 中国:中国初の網羅的なESG関連開示基準 中国の国有資産監督管理委員会傘下のシンクタンクである中国企業改革発展研究会作成の中国初の網羅的なESG開示基準が2022年6月1日付で発効した。
- オーストラリア:労働党新政権による気候変動政策の概要 2022年5月21日に選出された労働党の新政権が掲げる主要な気候変動対策に関する政策の一部及び今後想定される展開を概説する。