Corporate & Tax Global Update Vol. 75(2022年10月号)
「米国CFIUSによる対内投資審査における重要な考慮要素を定める大統領令の発令、日系企業向けドイツ移転価格税制の概要」等の最新情報をお届けします。
主要記事
アジア
- フィリピン:歳入庁があらゆる株価連動型報酬を所得税の対象とする規則を発行 フィリピンの内国歳入庁(BIR)は、株価連動型報酬について、被支給者の雇用形態にかかわらず、包括的に課税対象として取扱うとものとする歳入規則(RR)を発行した。
- タイ:国会が新たな合併制度を承認 タイ国会は、企業統合の新たな形態として、吸収合併に相当する「合併(merger)」を可能とする民商法典(Civil and Commercial Code)改正を承認した。本改正は、政府の公示日から90日経過後に発効するものであり、2023年初頭には新たな合併制度が利用可能になると予想される。
- 米国:CFIUSによる対内投資審査における重要な考慮要素を定める大統領令の発令 米国バイデン大統領は、2022年9月15日、対米外国投資委員会に対し、対内投資審査において特定の考慮要素を重視することを指示する大統領令を発令した。対米外国投資委員会が、今後どのように対内投資審査を行うかを知る示唆となるものである。
- EU:危機時の商品・サービス管理法案の提出 欧州委員会は、2022年9月19日、危機時における、戦略的に重要な商品やサービスの不足及びサプライチェーンの混乱に対処するため、EUに抜本的な新権限を付与する単一市場緊急措置に係る法案を提出した。
- ドイツ:日系企業向けドイツ移転価格税制の概要 2003年以降、ドイツの移転価格に関する状況は大きく変化しており、その変化のスピードはここ10年で加速している。本稿では、二国間APA、DEMPEコンセプト、期末の価格調整についての変更など、ドイツで事業を行う多国籍企業が、注意すべき重要な移転価格の側面について概説する。
- オランダ:2023年度オランダ税制案 2022年9月20日に、オランダ政府は2023年度税制案を発表した。今回のニューズレターでは特に重要な事項について概説する。
- スイス:スイスも外資規制の導入か スイス連邦参事会は、連邦議会からの圧力を受け、外資規制に関する新法を将来的に制定するため、投資管理法草案を公表し、コンサルテーション手続を開始した。世界的に外資規制が強化されている傾向にあるが、スイスもその流れに乗ることを意味する。
- 日本:「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」の策定 日本政府は、企業における人権尊重の取組みをサポートするためのガイドラインとして、「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」を策定した。このガイドラインは、企業に対して、国内外における自社・グループ会社、サプライヤー等の人権尊重の取組みに最大限努めることを求めるものである。
- オーストラリア:気候変動法案の可決と新たなGHG削減目標の法制化 気候変動法案が上院で可決された。本法案は、2030年までに温室効果ガス排出量を2005年比で43パーセント削減し、2050年までに同排出量をネットゼロにするという目標を法制化するものである。
- EU:欧州委員会は強制労働が用いられた製品のEU市場での流通を禁止する規則案を提案 欧州委員会は、2022年9月14日、強制労働により生産された製品につきEU市場での流通及びEU市場からの輸出を禁止する規則を提案した。すべての域内消費及び輸出用に製造された製品並びに輸入品が対象となる。