Corporate & Tax Global Update Vol. 78(2023年1月号)
「米国IRSは内国歳入法367条(d)(無形資産の移転に関する特別ルール)における前払いを認めないガイダンスを公表、カナダ投資法における国家安全保障の強化に関する改正法案」等の最新情報をお届けします。
主要記事
日本
- 日本:スイスとの租税条約の改正 スイスとの租税条約が改正され、課税年度に基づいて課される租税に関しては2023年1月1日以後に開始する各課税年度の租税、課税年度に基づかないで課される租税(源泉税)に関しては2023年1月1日以後に課される租税に対して適用される。改正後のスイスとの租税条約のうち重要と考えられるものを概略する。
- 米国:IRSは内国歳入法367条(d)(無形資産の移転に関する特別ルール)における前払いを認めないガイダンスを公表 2022年9月23日、IRSは§367(d)に関するメモを発表し、譲渡人が金銭等を受ける無形資産の§351又は§361譲渡の直後に行う前払いを除き、将来年度にわたる受払の前払いを認めないとした。日本企業に対する留意点も含めてその概要を説明する。
- カナダ:カナダ投資法における国家安全保障の強化に関する改正法案 カナダ投資法について、国家安全保障の強化を目的とし、投資実施前の届出の義務、投資家情報の同盟国との共有、違反に対する制裁金の大幅な増額、司法審査におけるセンシティブ情報の保護措置等を内容とする改正法案が提出された。
- EU:第二の柱に係るEU指令が正式採択 ハンガリーの反対によりその導入が遅延していた第二の柱に係るEU指令が2022年12月15日にEU理事会により正式に採択された。
- ドイツ:M&Aにおける詐欺的不実表明に関するデュッセルドルフ地方裁判所の判断 デュッセルドルフのM&A紛争のための専門裁判所が、対象会社のEBITDAを22回誤記帳したことにより対象会社の価格を不当に吊り上げたことは詐欺的不実表明又は故意の株式譲渡契約違反を構成するという買主の主張を退けた判決が公開された。
- 日本: GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針(案)を発表 化石エネルギー中心の産業構造・社会構造をクリーンエネルギー中心へ転換するグリーントランスフォーメーション(GX)の実現を通じて、2030年度の温室効果ガス46%削減や2050年のカーボンニュートラルの達成を目指すと共に、エネルギー需要構造の転換と産業構造・社会構造の変革を実現するため、今後10年を見据えた「GX実現に向けた基本方針案」が内閣府より発表された。
- フィリピン: 再生可能エネルギー事業に対する外資保有規制の撤廃 エネルギー省通達において、太陽光、風力、水力、海洋、潮力エネルギー資源の探査、開発及び利用の事業に課されていた外資保有規制が撤廃され、外資100%で事業を実施することが可能とされた。
- EU:炭素国境調整措置に関する暫定的合意 欧州議会及び欧州連合理事会は、2022年12月13日、炭素国境調整措置(EU Carbon Border Adjustment Mechanism)に関する規則の法案について、暫定的な合意に至った旨の公表をした。