Corporate & Tax Global Update Vol. 82(2023年5月号)
「英国テイクオーバー・パネルによる競合オファーの状況における時間軸に関する規則の改正、米国内国歳入庁による2022年事前確認(APA)レポートの公表」等の最新情報をお届けします。
主要記事
アジア
- ベトナム:ベトナム政府、2021~2030年の海外投資協力戦略実施に向けた行動計画を承認 2023年3月28日に、2021年から2030年の期間の海外投資協力戦略を実施するための行動計画の承認に関する決定が発表された。この決定は、外国資本をより多く誘致するための投資の枠組みを改善することを目的として、海外投資協力戦略を実施するための具体的な対応事項を所管政府機関に割り当てている。
- 米国:内国歳入庁が2022年事前確認(APA)レポートを公表 ― 締結件数は大幅減少する一方、申請数は対前期比大幅増 米国内国歳入庁の事前確認・相互協議プログラム(APMA)は、2023年3月27日付で事前確認制度に関する報告書を公表した。この報告書では、条約相手国や移転価格算定方法を含め、2022年にAPMAが受領・締結したAPAに関する統計情報が多く示されている。
- 米国:外国人不動産投資税法(FIRPTA)に係る新しい規則案の公表 2022年12月29日、米国財務省は、内国歳入法892条及び897条の FIRPTA規則に関する規則案を公表した。規則案には、国内支配適格投資事業体に該当するかを判定するための新しいルックスルー・ルールが含まれており、外国人投資家等はその影響を考慮しながら、既存の米国の不動産投資ストラクチャーを精査する必要がある。
- ペルー: 中核事業のアウトソーシングを禁止する規則をめぐる民衆訴訟について高等裁判所が第一審判決を下す 2023年4月3日、リマ高等裁判所第三憲法廷(第756-2022号)は、中核事業のアウトソーシングの可能性を制限する最高政令第001-2022-TR号をめぐって提起された民衆訴訟に判決を下し、詐欺的でなければ、中核事業のアウトソーシングは有効であると判断した。
- 英国:テイクオーバー・パネル、競合オファーの状況における時間軸に関する規則を改正 テイクオーバー・パネルは、2022年10月のコンサルテーション・ペーパーで提案されたオファーが競合する状況における時間軸に関する規則改正を含むレスポンスステートメント(RS 2022/3)を発表し、当該規則改正は2023年5月22日(月)に施行された。
- 英国:2023年春季予算案 2023年3月15日、2023年度春季予算案が公表された。春季予算案では、Pillar 2の導入について言及されており、また、主権免税の取扱いの変更を行わない旨についても触れられている。
- ドイツ:条約濫用防止規則の改正 ― 初の適用事例を受けての実務対応 2021年6月9日を発行日とするドイツの新たな条約濫用防止規定は、主要目的テストを導入し、旧規定より厳しいものとなっている。昨今の初の適用事例を鑑み、ドイツ源泉税の減免に係る実務対応にて概説する。
- 米国:ニューヨーク州における改定版セクハラ防止モデル規程の発表 ニューヨーク州知事のキャシー・ホークル氏は、2023年4月11日、ニューヨーク州労働局によるセクハラ防止モデル規程の改定作業の完了を発表した。
- カナダ:サプライチェーンに関する報告義務を定めるサプライチェーン透明化法の成立 サプライチェーンにおける強制労働及び児童労働に対抗するため、事業者に対して報告義務を課すサプライチェーン透明化法が可決された。2024年1月1日から施行される。
- EU:欧州議会が森林破壊規制の一環として新たなデューデリジェンスを導入 欧州議会は、森林破壊の問題への取組を目的とした新しいEU規則の最終案を採択した。牛、ココア、コーヒー、パーム油、ゴム、大豆、木材等に関連する製品・商品について、森林破壊によって取得された土地から生産されたものでないことを確認するための「デューデリジェンス」を実施することを企業に義務付けるものであり、当該確認ができた製品・商品のみEU内での販売が可能となる。