Corporate & Tax Global Update Vol. 83(2023年6月号)
「経済産業省による企業買収における行動指針(案)の公表、ドイツ移転価格調整金の関税上の取扱いに関する最新判決」等の最新情報をお届けします。
主要記事
日本
- 日本:「企業買収における行動指針(案)」の公表 経済産業省は、2023年6月8日、「企業買収における行動指針(案)-企業価値の向上と株主利益の確保に向けて-」を公表するとともに、本指針案に係るパブリックコメントの受付を開始した。本指針案は、経済産業省内において2022年11月に設置された「公正な買収の在り方に関する研究会」における議論を踏まえて作成されており、上場会社の経営支配権を取得する買収を巡る当事者の行動の在り方を中心に、M&Aに関する公正なルール形成に向けて経済社会において共有されるべき原則論及びベストプラクティスを提示することを目的とする。
- 中国:非居住者企業による中国法人株式譲渡に係るオンライン税務登録、申告納税を行うための新機能がE-tax Chinaで提供開始 非居住者企業が中国法人の株式譲渡を行った際に用いる電子申告納税モジュールの提供が開始した。ただ、実務上、申告納税に当たっては税務当局との事前の折衝は依然として必要であるように思われ、また、特殊性税務処理を適用するケースに関しては、電子申告納税を用いることは出来ない旨留意が必要である。
- 中国:第14期全国人民代表大会における税務に関する提案及びその実施状況 第14期全国人民代表大会は、2023年3月13日の第1回会議において、2023年度国家経済社会開発計画を可決した。本稿では関連する政策の内容及び所見について述べる。
- ドイツ:移転価格調整金の関税上の取扱いに関する最新判決 ― ミュンヘン租税裁判所、期末価格調整金に係る追加関税は正当化されず 昨年11月号で取り上げたドイツ浜松ホトニクス判決後の2022年10月27日付で、ミュンヘン地方租税裁判所が、事業年度末の移転価格調整金により仕入価格を一括で上昇修正し、その結果ドイツの再販売会社が遡及的に追加支払いを行うという逆の事案に関して判決を下していたことが明らかになった。
- ドイツ:公益通報者保護法の成立 2023年5月12日、公益通報者保護法が成立した。本法は、2023年7月初旬に施行される。従業員数250名未満の会社については、2023年12月17日まで移行期間がとられるが、従業員250名以上の会社には、本法は施行から直ちに適用される。本法は、公益通報者の保護を向上し、推進することを目的とする。
- 英国:テイクオーバー・パネルのコンサルテーション ― 規則21とフラストレーティング・アクション 英国テイクオーバー・パネルは、フラストレーティング・アクション(提案された買収の成立を妨げる行動)を規定する規則の変更を提案するコンサルテーション・ペーパーを公表した。回答期限は2023年7月21日で、テイクオーバー・パネルは2023年秋に最終的な改正内容を記載した回答書を公表する予定であり、また、改正案は、回答書の公表から約1か月後に発効する予定である。
- 英国:消費者保護に関する新制度 英国政府は2023年4月25日、デジタル市場・競争・消費者法案(Digital Markets, Competition and Consumers Bill)を発表した。同法案では、デジタル分野の抜本的な規制が新たに導入されるとともに、既存の競争・消費者関連規制にも変更が加えられている。
- オーストラリア:2018年豪州現代奴隷法の見直しに関する報告書の公表 2023年5月25日、2018年現代奴隷法の見直しに関する報告書を公表した。