Corporate & Tax Global Update Vol. 84(2023年7月号)
「サウジアラビア政府による民事取引法の制定と公布の発表、国際最低課税額に関する法人税法施行令及び施行規則の交付、OECD第二の柱に関する新たなAdministrative Guidelineの公表」等の最新情報をお届けします。
主要記事
日本/グローバル
- 日本/グローバル:国際最低課税額に関する法人税法施行令及び施行規則の公布、OECD第二の柱に関する新たなAdministrative Guidelineの公表 令和5年度税制改正法案に含まれた国際最低課税額制度(いわゆるグローバルミニマムタックス制度)に関する政令、省令が本年6月に相次いで公布された。また、本年7月にOECDより、グローバルミニマムタックス制度に関するAdministrative Guidelineが公表された。本稿ではこれらに基づき考えられる実務上の懸念等につき概説する。
- シンガポール:国外資産の譲渡益に対する課税に係る所得税法改正案 シンガポールにおいては、国外資産の譲渡益については現行の所得税法下で一定のものについて免税とされていたが、経済的実体の乏しい事業体についてその免税の適用を制限するSection 10Lが草案としてパブリックコメントに供されている。
- オーストラリア:外国人所有権登記(2023年7月1日開始) 2023年7月1日に発効した、オーストラリアに存する資産の外国人所有権登記は、土地に関する権利、カンパニー・タイトル、土地関連企業の所有権等に関する登記が義務付けられ、違反した場合には多額の罰金が科される。
- オーストラリア:買収契約に基づく請求-買主と売主の教訓 M&A取引に関するオーストラリア連邦裁判所の判決は、売主に対する保証請求の通知を可能な限り速やかに買主が行わなかったことは、譲渡契約における手続要件の不遵守に該当するとして、当該請求を棄却した。
- 米国:再生可能エネルギープロジェクトに係るDomestic Content Tax Creditのガイダンスの公表2023年 5月12日、米国内国歳入庁は、再生可能電力を生成する施設と特定のエネルギー貯蔵施設に適用できる特別税額控除(Domestic Content Bonus Tax Credit)に係る暫定ガイダンスを公表した。
- 英国:TP及びPE関連法案・二国間租税条約改正に関する最新動向英国政府はTP税制やPE税制等の国際課税法案に関する諮問を開始した。今般の法案改正に共通するテーマは、①国内法を明確化・近代化する(特に最新のOECDモデルルールとの整合性を保つ)こと、②複雑になっている現行規則の内容をより簡素化することで、実務上の運営コストを下げ、納税者にとっての透明性を向上させることが狙いとされている。
- 英国:透明性の向上のための新たな取組-新しい義務的開示制度の施行 英国の義務的開示制度(MDR)が2023年3月28日に施行された。MDRは、既に英国で実施されていたDAC6を置き換えるものであり、その適用範囲を拡大するものである。関連する取引を行う納税者は、報告義務を適切に果たすべく検討を行う必要がある。
- ルクセンブルク:外国直接投資審査のための国内法制度の導入 ルクセンブルク議会が採択した外国直接投資審査のための国内法は、同国内において重要な活動を行う、同国法に準拠する法人に対する安全保障又は公序良俗に影響を及ぼし得る外国直接投資を、審査制度の対象とする。
- サウジアラビア:民事取引法の制定と公布を発表2023年6月にサウジアラビア政府が発表した民事取引法は、財産所有権の保護、契約の有効性、権利義務の発生・効果等を明確化するものであり、民商事取引に適用される。本年12月に発効し、特定の取引に遡及適用される。
- 日本:「女性活躍・男女共同参画の重点方針2023」の公表 政府は「女性活躍・男女共同参画の重点方針2023」を発表した。多様性の確保が企業の持続的な成長に資するとの考えから、東証プライム市場へ上場する企業に2025年を目途に女性役員を最低1人選任し、女性役員比率を30年までに30%以上とする目標も盛り込まれた。
- オーストラリア:新たなグリーンウォッシュ指針案の公表 オーストラリア競争・消費者委員会は、いわゆるグリーンウォッシュに対する一斉調査の結果を受けて、消費者保護法遵守のための8つの原則を定めた環境及び持続可能性に関する主張についての事業者向け指針案を公表した。
- EU:欧州理事会における自然回復措置法案に関する一般的なアプローチに関する合意 欧州理事会は、2023年6月20日、欧州委員会が2022年6月に提案した自然回復措置法案に関する一般的なアプローチについて合意に至ったことを公表した。