2023年7月19日、米国司法省反トラスト局(以下「DOJ」)及び米国連邦取引委員会(以下「FTC」)は企業結合に関する新たなガイドライン(以下「本ガイドライン」)を共同で公表し、パブリック・コメントを求めた。

本ガイドラインは、DOJ及びFTC(以下あわせて「当局」)が今後どのように米国の反トラスト法に照らした企業結合審査を行っていくかについて概説することを目的としており、企業結合に関し、より積極的な規制を行おうとするバイデン政権の取り組みの新たな一歩となるものといえる。

公表された本ガイドラインは、企業結合審査に関する近年最大の変革といえるものであり、「買収よりも内部成長が好ましい」旨明言している。実際に、本ガイドラインは、以前のガイドラインの下では競争上の問題が生じなかった多くの取引に影響を与えることになる。具体的には、①反競争的な悪影響を及ぼすと推定される市場集中度の閾値を引き下げる、②垂直的企業結合において懸念が生じる市場シェアの閾値を低く設定する、③連続的買収、潜在的な新規参入企業による買収、新興の競合企業の買収及びプラットフォーム市場に関連する企業結合を評価するための新たなアプローチを確立する、並びに④企業結合が労働市場に与える影響に関する評価を義務付ける等といった変更点が挙げられるところであり、当局が今後の取引について異議を唱えやすくなるような新たな方法論を示すものといえる。

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