2023年6月25日から、欧州連合(「EU」)加盟各国において、消費者の集団的利益の保護のための代表訴訟及び指令2009/22/EC の廃止に関する欧州議会及び理事会の指令(Directive 2020/1828/EU、以下「代表訴訟指令」)に基づき立法された国内法の実施措置が取られている。

代表訴訟指令は、EUの一部加盟国で認められていた集団訴訟制度について、EU加盟国内で統一した最低限の制度の構築を求めるものであり、EU加盟国に対し、認定された適格団体が、消費者を代表して事業者に対し、差止措置や賠償等の被害回復措置を求める代表訴訟を提起することができる制度の整備を義務付けている。

代表訴訟指令の実施により、EU加盟国内で、消費者団体等による訴訟提起が一層加速化することが予想される。代表訴訟指令は、あくまで最低限の水準を示すものであり、また、各加盟国に一定の裁量が認められているため、各加盟国の制度はその国内法により様々ではあるものの、各加盟国の制度の基礎となる代表訴訟指令の概要を理解しておくことは、EU内の消費者向けに製品やサービスを提供する日本企業にとって非常に有益であると思われるため、概要を解説する。

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