Corporate & Tax Global Update Vol. 87(2023年10月号)
「グローバルグループ再編シリーズ」第2回グローバルグループ再編の手法、オーストラリアの会社書類の電子化-企業買収を促進等の最新情報をお届けします。
主要記事
グローバル
- グローバル:「グローバルグループ再編シリーズ」第2回 グローバルグループ再編の手法 前回の「グローバルグループ再編シリーズ」第1回では、多国籍企業化した日本企業がグローバルグループ再編を積極的、戦略的に検討する十分な理由となり得る、法務、税務その他の現在の状況を紹介した。今回は、実際のグローバルグループ再編でよく用いられる手法をいくつか紹介する。
- グローバル:OECDが進める第二の柱、Subject To Tax Rule(STTR)に関する多国間租税条約(MLI)の署名版の公表 Subject To Tax Rule(STTR)について、2023年10月2日に多国間租税条約の署名版が公表された。STTRに関する多国間租税条約は各国の署名、国内における批准手続き等を経て、手続きの完了した国の間の既存の二国間租税条約に関して順次効力発生すると考えられる。ここでは、STTRについて概略と実務への影響について解説する。
- オーストラリア:会社書類の電子化-企業買収を促進 2023年9月15日より発効する会社法の改正により、同法に基づき作成される全ての文書において電子署名が利用可能になり、ほとんどの文書を電子送付できるようになった。
- オーストラリア:2023/2024年ニューサウスウェールズ州予算案の税制への影響 2023年9月19日、2023/2024年ニューサウスウェールズ州予算案の一部として、2023年財務・歳入法改正法案が立法議会に上程され、審議が開始された。この法案がニューサウスウェールズ州の税法に与える影響と経過措置について詳説する。
- 米国:FTC及びDOJによる役員兼任規制に対するエンフォースメントの強化 米国連邦取引委員会及び米国司法省は、近年、個人による競合する企業の役員の兼任規制に関して注目すべき動きを見せている。役員兼任は、クレイトン法第8条により原則として禁止されるが、企業の規模又は会社が相互に競争して販売する製品又はサービスから得られる売上が一定量を超えない場合は例外的に許される。
- EU:欧州委員会が新たな移転価格イニシアチブを提案 EU委員会は、EU域内のクロスボーダー企業の税務コンプライアンス・コストを削減し、税務の確実性を高め、税務紛争、二重課税、二重不課税のリスクを軽減することを目的とした、多くの重要な移転価格イニシアチブを発表した。
- 南アフリカ:企業開示要件の強化 2023年4月1日、2022年一般法(マネー・ロンダリング防止及びテロ資金供与対策)の改正に関する法律の一部の条項が発効した。その結果、会社法及び会社規則が改正され、すべての南アフリカ企業の報告義務が強化された。
- 日本:カーボン・クレジット市場の開設 東京証券取引所は、2023年10月、カーボン・クレジット市場を開設し、J-クレジット(温室効果ガスの削減・吸収活動へ付与されるクレジット)の売買の取引所取引を開始した。
- インドネシア:インドネシア証券取引所におけるカーボンユニット取引の開始 インドネシア証券取引所は、2023年9月、インドネシア金融庁からカーボン取引所に関するライセンスを取得し、カーボンユニット取引を開始した。
- EU:EU電池及び廃電池に関する規則の発効 EUでは、市場で取引される全ての電池の耐久性、安全性を高め、持続可能な製品とすることを目的として、「電池及び廃電池に関する規則」が施行された。本規則は、EU域内に上市する全ての電池の製造、設計、表示、回収、リサイクルを含むライフサイクル全体について詳細かつ厳格な基準を採用するため、関連企業は早期の検討と対応が求められる。
- 英国:英国の集団訴訟制度に基づく最初の環境訴訟 英国最大の水道会社に対する訴訟において、オプト・アウト型集団訴訟の制度が環境訴訟に初めて用いられた。英国におけるESG関連の訴訟における重要な展開を示すものである。