Corporate & Tax Global Update Vol. 91(2024年2月号)
シンガポール国家安全保障上の利益を強化するための重要投資審査法案が国会において可決、オーストリア会社法改正等の最新情報をお届けします。
主要記事
アジア
- シンガポール:シンガポール国家安全保障上の利益を強化するための重要投資審査法案が国会において可決 2024年1月9日、シンガポール国会は重要投資審査法案を可決した。本法案は、シンガポールの国家安全保障上の利益にとって重要な国内外の事業体への投資に対するシンガポール政府の規制手段を強化し、安全保障における規制の柔軟性を確保するものであると同時に、国際的な規範に沿いつつも、開放的で投資しやすい経済を維持するように設計されており、既存の産業セクターごとの規制を補完するものである。
- フィリピン:クロスボーダーの役務提供が最終源泉税及び最終源泉付加価値税(最終源泉VAT)の課税対象に 2024年1月10日に発効した歳入庁通達 第5-2024号により、クロスボーダーの役務提供にかかる最終源泉税、最終源泉付加価値税の取扱いが明確化された。クロスボーダーの役務提供に対して課せられる最終源泉税は、日比租税条約と整合しない可能性があり、日本における外国税額控除の適用可能性につき疑義が残る。
- 米国:SPACに関する新たな規則の導入 米国証券取引委員会は、新規株式公開や特別目的買収会社(SPAC)の企業結合を規制する枠組みを見直す規則案の発表から約2年という長い年月を経て、このトピックに関する最終規則を3対2の投票で採択した。SECの規則案が発表されて以来、SPAC市場には、規制や経済的な逆風に直面して冷え込むなど多くの変化があったが、最終規則は2022年3月のSECの原案をほぼ踏襲している。
- 米国:連邦租税裁判所、ケイマンヘッジファンドが米国で事業活動に従事していると判決 連邦租税裁判所は、2023年11月15日、ケイマン諸島のリミテッド・パートナーシップとして組織されたヘッジファンドが米国で事業活動に従事していると判示した。本稿では、かかる判決の主要なポイントについて解説する。
- オーストリア:会社法改正により新たな法人形態及びスタートアップ優遇税制が導入される 2023年にオーストリア会社法が改正された。本稿では特に、新たに導入された、GmbHより柔軟な法人形態であるFlexible Kapitalgesellschaft及びスタートアップに対する優遇税制について解説する。
- ベトナム:責任あるビジネス慣行に向けた国家行動計画 2023年から2027年までのベトナムにおける責任あるビジネス慣行を促進するための国家行動計画において、投資、労働、社会的弱者に対する保護、環境保護および消費者保護の分野における優先課題が定められた。
- EU:強制労働による製品のEU市場流通を禁止する規則に関するアップデート EUでは、強制労働によって製造された製品のEU市場での販売及びEUからの輸出を禁止する規則の制定を目指し協議が進められている。同規則は、米国ウイグル法と異なり、強制労働が行われている全地域を適用対象としている。
- 英国:改訂版グリーンリース・ツールキットの公表 英国のベタービルディングズ・パートナーシップ(BBP)は、2024年1月29日、賃貸人と賃借人との間でグリーンリースというコンセプトの共通理解を共有し、商業用不動産賃貸借へサステナビリティ関連条項を円滑に組み込むことを目的とした、グリーンリース・ツールキットの改訂版を公表した。