最近、企業が先端技術を海外に持ち出す際の規制を拡大する動きがみられた。経済産業省は、日本が優位性を持ち他国が獲得に関心を持つ分野の技術移転について、企業に同省への事前報告を義務付ける見込みである。

当該規制の目的は、日本の先端技術の軍事転用や流出を防止する点にある。

現在、日本政府は軍事転用のリスクが高いモノや技術を規制リストにまとめ、厳格に管理している(リスト規制)。新しい規制においては、日本のシェアが高い先端技術のうち、リスト規制外の技術移転の一部を事前報告の対象にする。

対象の範囲は、企業や業界団体との協議により決定される見込みである。対象として想定されているのは、民生利用が目的であっても軍事転用が可能であり、他国が獲得に関心を示す先端装置・部素材等である。対象となるのは、工場移転や現地生産が可能となるような技術移転に限定される。製品のプログラム情報の提供や技術指導、メールでのデータ送信等も状況により対象になり得る。虚偽の報告や故意に報告しない行為をする業者に対する罰則も設けられる。ライセンス提供等の営業活動は対象外となる見込みである。

技術移転の許可が出るのは、移転元及び移転先の企業が適切に技術を管理していると経済産業省が認める場合であると考えられる。なお、輸出管理を厳格にしていると日本が認定した「グループA(旧ホワイト国) 」への移転には事前報告を求めない方針である。