Corporate & Tax Global Update Vol. 94(2024年5月号)
米国内国歳入庁による2023年事前確認(APA)報告書の公表とエジプトにおける企業結合の事前規制の導入等の最新情報をお届けします。
主要記事
アジア
- 中国:データ越境移転を促進し、規制する新規則の施行 2024年3月22日、「データ越境移動促進規範規則」が施行された。当該規則により、データの越境移転について、適用範囲や手続が明確でなかった点について明確化を図り、また一部要件が緩和されることとなった。中国からデータの移転を行う事業者は、新しい規則に従って手続要件を再度検証する必要がある。
- オーストラリア:ビクトリア州における重要な税制改正 ー 商・工業用不動産固定資産税制度の導入 下院歳入委員会の租税小委員会は、OECDの包括的枠組み第1の柱プロジェクトに関する公聴会を開催した。この公聴会は、第1の柱の利益A実施に向けた多国間条約の草案及び利益Bの最終報告書の発表以来、第1の柱のみに特化したものである。
- 米国:内国歳入庁が2023年事前確認(APA)報告書を公表 米国内国歳入庁の事前確認・相互協議プログラム(APMA)は、2024年3月26日付で事前確認制度に関する報告書を公表した。この報告書では、条約相手国や移転価格算定方法を含め、2023年にAPMAが受領・締結したAPAに関する統計情報が多く示されている。
- 英国:非永住の英国居住者に対する課税制度の変更 2024年3月6日、保守党が率いる現政権は、税務上の英国非永住者(resident non-UK domiciled)個人に対する課税方法について、今後大幅な変更を行うことを発表した。変更は2025年4月6日から適用される予定である。
- エジプトにおける企業結合の事前規制の導入 2024年4月4日、エジプト首相令2024年第1120号により、エジプトの新しい企業結合規制の施行規則が正式に公布された。本施行規則は2024年6月1日に発効するとされており、2024年6月1日以降にクロージングする取引のうち、所定の基準に該当するものは、ECAから事前承認を得なければならないこととなる。
- EU:企業の持続可能性デューデリジェンスに関する指令(CS3D)に基づく報告義務
- EU:気候変動に関するCS3D上の義務 ー 気候変動緩和のための移行計画の策定
- EU: CS3Dの義務違反に対する罰則及び民事責任
企業の持続可能性デューデリジェンスに関する指令(Corporate Sustainability Due Diligence Directive)(以下、「CS3D」)が、2024年4月24日に欧州議会により正式に承認された。4月号のCorporate & Tax Global Updateでは、CS3Dに基づく人権及び環境に関するデュ―デリジェンス義務を解説したが、今月号では、CS3Dに関連して、①CS3Dに基づき対象企業に課される報告義務、②気候変動に関する義務、③CS3Dに基づく義務の違反に対する罰則及び新たに導入される民事責任の枠組みについて紹介する。