Corporate & Tax Global Update Vol. 95(2024年6月号)
日本において株券発行前に行われた株式譲渡の当事者間での効力を認めた裁判例と、マレーシア内国歳入庁の事前確認制度に関する最新のガイドライン導入等の最新情報をお届けします。
主要記事
日本/グローバル
- 日本:株券発行前に行われた株式譲渡について、譲渡当事者間においては、株券の交付がないことをもってその効力が否定されることはないとした裁判例(最二小判令和6年4月19日) 株券発行前に行われた株式譲渡の有効性に関し、最二小判令和6年4月19日は、株券発行前に行われた株券発行会社の株式の譲渡は、譲渡当事者間においては、株券の交付がないことをもってその効力が否定されることはない旨を判示した。
アジア
- マレーシア:マレーシア内国歳入庁が、事前確認制度に関する最新のガイドラインを導入 下院歳入委員会の租税小委員会は、OECDの包括的枠組み第1の柱プロジェクトに関する公聴会を開催した。この公聴会は、第1の柱の利益A実施に向けた多国間条約の草案及び利益Bの最終報告書の発表以来、第1の柱のみに特化したものである。
米州
- アルゼンチン:企業規制に対する新たな枠組み 今年初め、国家当局及びブエノスアイレス司法総監察局は、国内企業及びブエノスアイレスに登記又は登記申請中の外国企業に対して適用される変更を定める規制を制定した。
欧州
- 英国:Call for evidenceによるフィードバックを受けた対内投資審査制度の改正 2024年4月18日、イギリス政府は、2023年12月に開始したイギリス国家安全保障・投資法の大幅改正に関する関係者のフィードバックを求めるCall for evidenceに対する回答を公表した。
- 英国:テイクオーバー・パネル プライベートセール・プロセスに関する規則、及び、管轄限定に関するコンサルテーション 2テイクオーバー・パネルは、対象会社又は多数株主によるプライベートセール・プロセスにおける様々な規則の適用に関するプラクティス・ステートメント第31号の改正を公表した。
- ドイツ:グループ内資金調達に係る支払い利息の損金算入制限の厳格化 22024年3月に新たに施行された成長機会法(Growth Opportunities Act)により、グループ内資金調達における税務上の利子控除制限がより強化された。同法に基づき新たに設けられた規則では、ローンだけでなく、社債類似商品やハイブリッド金融商品にも適用される。同法を受けて、納税者(既存のグループ内融資を持つ納税者を含む)は、追加の文書化要件を満たす必要があり、グループ内ローンやそれに類似する資金調達方法は見直しを迫られることになる。
ESG/Sustainability
- ドイツ:EU電池規則を前提とする新たな電池規制法案の公表 企業の持続可能性デューデリジェンスに関する指令(Corporate Sustainability Due Diligence Directive)(以下、「CS3D」)が、2024年4月24日に欧州議会により正式に承認された。4月号のCorporate & Tax Global Updateでは、CS3Dに基づく人権及び環境に関するデュ―デリジェンス義務を解説したが、今月号では、CS3Dに関連して、①CS3Dに基づき対象企業に課される報告義務、②気候変動に関する義務、③CS3Dに基づく義務の違反に対する罰則及び新たに導入される民事責任の枠組みについて紹介する。