Corporate & Tax Global Update Vol. 100(2024年11月号)
日本における令和6年投資事業有限責任組合契約に関する法律の改正、英国における2024年秋季予算案等の最新情報をお届けします。
主要記事
日本
- 日本:令和6年投資事業有限責任組合契約に関する法律の改正 2024年6月7日に投資事業有限責任組合契約に関する法律を改正する法律が公布された。改正の主な項目は、①投資事業有限責任組合による海外投資比率規制の見直し、②暗号資産の取得等に係る見直し、③合同会社持分の取得等に係る見直し及び④監査意見の範囲の変更の4点である。これらの改正項目のうち、①③及び④については2024年9月2日に施行されており、②については本改正の公布日から1年以内の施行が予定されている。
アジア
- 中国:法定退職年齢の引き上げ ー 使用者に与える影響 2024年9月13日、全国人民代表大会常務委員会は「法定退職年齢の段階的延長に関する決定」を発表し、同日、国務院は「法定退職年齢の段階的延長に関する弁法」を公布した。急速に高齢化が進む中国において、法定退職年齢の引き上げについては長年議論がなされており、本決定は2025年1月1日に施行され、法定退職年齢は、15年間にわたり段階的に引き上げられ、最終的には、男性が63歳、幹部の女性が58歳、女性労働者が55歳となる。
- マレーシア:2025年度予算案における税務上のハイライト マレーシア首相兼財務大臣は、2024年10月18日、過去最大となる4,210億マレーシアリンギットを計上する、マレーシアの2025年度予算案を提出した。本予算案で提案されている税制上のハイライトを紹介する。
- フィリピン:非居住者デジタルサービスプロバイダーに対するVAT課税を定める新法への署名 非居住者Digital Service Providerがフィリピンにおいて提供するデジタルサービスにVATを課す新法が成立した。年間売上が約800万円程度で規制対象となるDSPに該当する可能性が生じてくるため、クロスボーダーでフィリピンを含む国・法域にサービスを提供する多国籍企業には影響が大きい。
豪州
- オーストラリア:マネーロンダリング及びテロ資金供与対策法の重要な改正案が提出 ー 規制対象となる業務が拡大 2024年9月11日、オーストラリア政府は、マネーロンダリング及びテロ資金供与対策制度を、不動産専門家や、弁護士、会計士、信託・会社サービス提供者を含む専門サービス提供者、並びに宝石及び貴金属商に対して適用を拡大することを内容とする法案を提出した。本法案はさらに、報告主体の取締役会及びAML/CTFコンプライアンスオフィサーの責任を明確化し、AML/CTFプログラムの更新を規定し、顧客デューデリジェンスの要件の一部を見直すものである。
欧州
- 英国:2024年秋季予算案 2024年10月30日、秋季予算案が発表された。これは、労働党政権による初の予算案である。予算案には、従前発表されていた非永住居住者制度及び英国相続税についての変更案が含まれており、タックスプランニングに大きな影響を及ぼし得る。
- ルクセンブルク:商業・企業登録手続の変更と個人識別番号の提出 2024年11月12日より、ルクセンブルグ企業登録所は、ルクセンブルグ商業・企業登録にかかる届出手続に変更を導入した。特に、登録されている又は登録される予定のルクセンブルク又は国外に居住する自然人に対し、ルクセンブルクの識別番号の提供が義務付けられたことに留意が必要である。
ESG/Sustainability
- EU:欧州議会が森林破壊防止デューデリジェンス規則の適用を延期する改正案を可決 欧州議会は、2024年11月14日に森林破壊防止のためのデューデリジェンス義務化に関する規則改正案を可決し、大企業及び中小企業への同規則適用開始がそれぞれ1年間延期されることが決定した。