Corporate & Tax Global Update Vol. 70(2022年5月号)
「OECDがデジタル課税・第1の柱「Amount A」に関して資源採掘事業の除外に関するモデル規則案(公開協議文書)を公表(グローバル)、実質的所有者の報告(米国)」等の最新情報をお届けします。
主要記事
グローバル
- グローバル:OECDがデジタル課税・第1の柱「Amount A」に関して資源採掘事業の除外に関するモデル規則案(公開協議文書)を公表 OECDは、2022年4月14日付でAmount Aの除外資源採掘事業に関する新たなモデル案(公開協議草案)を公表した。除外資源採掘事業のモデル規則案は、資源採掘業(Extractive Industry)に属する事業を営む納税者に対するAmount Aの適用判断のためのルールが規定されている。
- 香港:買収コード規則2.10に基づくスキームに同意する総会の招集方法 香港の高等法院は、Chong Hing Bank非公開化にかかるスキームの承認において、会社条例第674条(2)(a)項及び買収コード規則2.10の解釈において問題となっていたスキームに同意する株主の総会の招集方法を明確にするとともに、海外株主が移動制限にかかわらず出席できるようハイブリッド方式での総会を指示した。
- 米国:実質的所有者の報告 米国財務省は、企業透明化法の実質的所有者の情報報告規定を実施するための規制案をパブリックコメントに付すための告示をした。現時点で結果については公表されていないが、2022年中の実施を目指すといわれており、対象となる報告会社は実質的所有者の報告の準備を行うべきである。
- 英国:解雇・再雇用の実務に関する新たな法規制の導入 英国の雇用法において問題となっている解雇・再雇用の実務について、政府は新たに法規制を導入することを発表した。労働条件の変更を計画している雇用主は、法的請求、労使関係への影響、雇用主としての評判の低下リスク増加を踏まえ、労働条件の変更に際して新法規制を遵守する必要がある。
- EU:OECDの第二の柱のモデルルールに関するコメンタリーに対する、EU指令の検討状況 2022年3月14日にOECDにより公表された第二の柱のモデルルールに係るコメンタリーを受けて、EUではその導入に当たって、EU指令の制定につき、議論を行っているが、加盟国の反対により導入が遅れることが見込まれている。
- ルクセンブルク:不動産所得税(Real Estate Levy)の申告期限が5月末に迫る 2021年予算において、ルクセンブルクの不動産に投資するルクセンブルクの非課税法人に対して不動産所得税(Real Estate Levy)を導入した。対象となる納税者は、2022年5月までに申告書の提出、その他の情報報告義務を果たすことが求められる。
- インドネシア:炭素税導入および施行日の延期 2021年10月に成立した「税制の調和に関する法律第7/2021号」(HPP法)により、炭素税制度がインドネシアに初めて導入された。炭素税の適用は、当初2022年4月からを予定していたが、3か月延期されることとなった。
- 米国:取締役会の多様性確保を定めた法律は州憲法に違反するとしたカリフォルニア州裁判所の判断 カリフォルニア州裁判所は、上場会社に対して社会的少数派を取締役会の構成員に含めることを義務付ける州法は州憲法に違反すると判断した。
- 米国:米国証券取引委員会による気候関連開示規則案のサプライチェーンへの影響 米国証券取引委員会が2022年3月21日に公表した気候関連開示規則案は、SEC登録企業に対して気候関連リスクに関する情報や温室効果ガス(GHG)排出量について一定の開示を義務付けている。当該開示にはサプライチェーンに関する情報も含まれるため、この規則案に基づく法改正が行われた場合、SEC登録企業は、サプライチェーンの川上と川下に属する取引先に関する気候関連リスク及び気候影響データの取得及び分析を求められることになる。