Corporate & Tax Global Update Vol. 74(2022年9月号)
「経済産業省によるスピンオフ税制の税制改正要望、UAEで現地雇用推進のため企業をサポートする新しい自国民化法を導入」等の最新情報をお届けします。
主要記事
日本
- 日本:経済産業省によるスピンオフ税制の税制改正要望 現行税制下では、会社の一部門又は完全子会社のスピンオフしかスピンオフ税制の対象とはならない。経済産業省は、令和4年度に引き続き、スピンオフ税制の拡充に向けての要望を提出している。今後、例えば、完全にスピンオフを行わないまでも大部分をスピンオフした場合にスピンオフ税制の適用が認められるといった拡充が行われる可能性がある。
- 日本:国税庁が「移転価格事務運営要領」(事務運営指針)の一部改正を公表② ~金融取引に関する改正~ OECD移転価格ガイドラインの10章(金融取引に係る移転価格の側面)の考え方が全面的に取り入れられ、今後は、通貨、時期、期間、信用力その他の比較可能性に影響を与える要素を考慮した「市場金利」を比較対象取引として選定する必要があることが明確化された。
- オーストラリア:競争・消費者法及び消費者保護法における罰金額の引き上げ 2022年8月に公表された2022年財務省法改正(競争及び消費者のための改革第1号)法案では、反競争的行為や消費者保護法違反に対し、罰金の最高額の引き上げが予定されている。競争法及び消費者法違反に対する罰則が急速に強化されつつある同国のトレンドを示すものである。
- ドイツ:ソフトウエア開発業務に対する源泉税の取扱いに関する新たな通達 2022年8月2日付通達において、連邦財務省は、ソフトウエア開発業務を提供する非居住者に対する2021年6月6日より後の越境支払について、ドイツ源泉税上の取扱いに関する見解を示した。本通達は、ドイツ企業に対してソフトウエア開発業務を提供する又は提供したドイツ国外に所在するソフトウエア開発者に潜在的な影響がある。
- UAE:現地雇用推進のため企業をサポートする新しい自国民化法を導入 UAE政府は、労働力の現地化を支援する取組を強化する施策として、従業員に占めるUAE国民の割合を年間2%ずつ引き上げる義務を導入する2022年人的資源・自国民化大臣決定第279号や、民間企業を3つのカテゴリーに分類し異なる優遇措置を適用する2022年閣議決定第18号など、新しい法令を導入した。
- タイ:工場に対する大気汚染物質排出の監視及び報告の義務拡大 ESGに対する関心の高まりを受け、工業省は、適用範囲の拡大及び大気汚染物質排出に関するデータの一般公開促進のため、工場運営者に対する大気汚染物質排出の監視及び報告の義務を定めた告示を改定した。
- 米国:役員報酬と業績の関連性についての開示に関するRegulation S-K最終改正案 米国証券取引委員会は、2022年8月25日、役員報酬と業績の関連性についての開示に関するRegulation S-K最終改正案を公表した。当該改正案によると、SEC 登録会社は、2022年12月16日以降に終了する事業年度に関して提出される委任状説明書などにおいて役員報酬と業績の関連性に関する一定の情報開示を求められることになる。
- EU:EUにおける再生可能燃料政策の動向 欧州委員会は、RePowerEUパッケージの開始後、非生物起源の再生可能燃料(RFNBO、主に再生可能水素)に適用される規制の枠組みを構築している。その中で、再生可能エネルギー指令(RED II)の下、再生可能燃料に大きな影響を与える2つの委任法の法案が発表された。