Corporate & Tax Global Update Vol. 76(2022年11月号)
「米国の実質的所有者の報告(最終規則)及びドイツの事前確認制度(APA)に伴う移転価格調整金の関税還付請求に関する事件」等の最新情報をお届けします。
主要記事
アジア
- マレーシア:2023年度予算案 2022年10月7日に、マレーシアの2023年度予算案が公表された。しかしながら、マレーシア議会は2022年10月10日に解散しており、総選挙の終了後の状況によっては、当予算案は変更される可能性がある。本稿では、グローバル・ミニマム課税をはじめとする現時点の2023年度予算案の重要な項目について解説する。
- シンガポール:シンガポールにおける税制の動向 本稿では最近のシンガポールにおける税制の動向で、最低税率課税制度の導入に係る動きなど、重要と思われるものにつき解説する。
- 米国:実質的所有者報告に関する最終規則 米国財務省の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)は、企業透明化法(CTA)における実質的所有者の報告義務に関する最終規則を公表。同規則は、2024年1月1日に発効予定。
- ドイツ:事前確認制度(APA)に伴う移転価格調整金の関税還付請求に関する事件に対し、連邦財政裁判所が最終判決を下す ドイツにおける税務関連の最高裁判所である連邦財政裁判所(BFH)は、浜松ホトニクス事件の最終判決を下した。BFHは、欧州司法裁判所の判決に従い、遡及的な下方修正に伴う原告の関税還付請求を棄却した。
- 英国:会社債権者に対する取締役の責任にかかる最高裁判決 英国最高裁は、2006年会社法に基づく会社の取締役は、会社の倒産手続が不可避の場合には会社債権者の利益を最優先すべき義務、倒産手続が不可避ではない場合には株主の利益と会社債権者の利益の均衡を図るべき義務を有する旨判示した。
- タイ: 新規再生可能エネルギー案件についての公募開始 タイのエネルギー規制委員会(Energy Regulatory Commission)は、2022年9月、2022年から2030年までの期間における固定価格買取制度に基づく再生可能エネルギー源からの電力購入に関する規則及びこれに基づく公募概要を公表した。
- オーストラリア:グリーンウォッシュに対する一斉調査を開始 オーストラリア競争・消費者委員会(ACCC)は、「環境及び持続可能性に関する誤解を招くようなマーケティング上の主張」(いわゆるグリーンウォッシュ)、及び「偽の、又は誤解を招くようなオンラインビジネスレビュー」を特定するため、インターネット一斉調査の実施を発表した。
- スイス:非財務情報の開示並びに紛争鉱物及び児童労働に関するデューデリジェンス実施に関する新規則 上場会社等への非財務情報の開示並びに紛争鉱物及び児童労働に関するデューデリジェンス実施義務を定める新規則が2022年1月1日から施行されている。その概要と共に省令の制定状況などを概説する。