Corporate & Tax Global Update Vol. 92(2024年3月号)
中国国家市場監督管理総局が新会社法に基づく出資に関する規定案を公表、米国OECDがICAP統計を初めて公表等の最新情報をお届けします。
主要記事
アジア
- 中国:国家市場監督管理総局が新会社法に基づく出資に関する規定案を公表 2024年2月6日、中国国家市場監督管理総局は、中国会社法に基づく登録資本金の登記管理制度の実施に関する国務院規定案を意見公募のために公表した。規定案では、2023年会社法に基づく法定出資期間にかかる猶予期間の設定などが定められている。
- シンガポール:第2の柱の実施と投資促進インセンティブに関する重要な税制改正 近時公表された2024年度シンガポール予算案では、第2の柱に基づくIIR/DTT、QRTCの他、既存の投資促進インセンティブに対する改正項目等重要な税制改正が予定されており、対シンガポール投資を行っている多国籍企業に対して大きな影響が見込まれる。
- タイ:外国人事業ライセンス及び外国人事業証明書取得の免除対象事業の追加について タイ商務省は、一定のデリバティブ取引等の11の事業を、新たに外国人事業ライセンス(FBL)又は外国人事業証明書(FBC)の取得が免除対象事業とする省令案についての公聴会を開始した。
- タイ:タイ投資委員会が新たな投資奨励策を発表 2024年2月7日に、タイ投資委員会(BOI)は、地域統括拠点や研究開発機関をタイに置く製造事業者に対する優遇措置などを含む、新たな投資奨励策を発表した。
- オーストラリア:M&Aにおけるアーンアウト条項をめぐる最高裁判例 アーンアウトやその他の対価を繰り延べる仕組みは、非公開の会社や事業の買収において一般的なものである。後の紛争の可能性を避けるため、アーンアウト条項は特に慎重なドラフトが求められ、この点に関し、オーストラリアの近時の2つの最高裁判例は示唆に富むものである。
- 米国:OECD、ICAP統計を初めて公表 2024年1月29日、OECDは国際的コンプライアンス確認プログラム(ICAP)に関する初めての統計を公表した。この統計では、ICAPが導入された2018年以降、2023年10月までに完了したすべてのICAP案件が対象とされた。
- 米国:内国歳入庁が新たな移転価格イニシアティブを発表 2023年10月20日、内国歳入庁は、米国内で販売活動を行う大規模な外資系多国籍企業の移転価格コンプライアンスを対象とする、移転価格イニシアティブを発表した。本稿では同イニシアティブを受けて、米国における外資系多国籍企業が採るべき備えについて解説する。
- カナダ:集団訴訟の新たな類型を創設する競争法改正案が成立する見通し カナダ政府は、カナダの競争法及び競争政策の近代化を進めており、司法行為に対する新たな集団的救済制度や私訴の対象となる行為の拡大など、競争審判所への私人のアクセス権の拡張を含む競争法の改正案もその1つである。2024年上半期に法律として成立する見通しであり、審判所への私訴の申立件数が増加し、企業にとって新たな訴訟リスクが生じる可能性が高い。
- オランダ:新投資審査法による投資規制対象の拡大 域内で外国直接投資審査強化を推進するEUポリシーに沿って、オランダにおいても外国直接投資審査制度が創設され、2023年6月1日より、投資・M&Aの安全審査に関する新法が施行されている。
- オーストラリア:公正労働法案の連邦議会における可決 オーストラリア連邦議会において、2024年2月12日、非正規雇用者やギグワーカーに関する労働法上の保護を高めるための(抜け道の封鎖(closing loopholes)のための)公正労働法改正案が可決された。
- UAE:プラスチック製品を含む使い捨て製品の規制 EUAEのドバイ首長国において、使い捨てプラスチック製品、及びその他の使い捨て製品の使用を段階的に禁止し、リサイクルの促進を目的とした新たな規制が2024年1月1日に発効した。当該規制には罰則も規定されている。