Corporate & Tax Global Update Vol. 93(2024年4月号)
アフリカ大陸自由貿易圏投資議定書-持続可能な貿易と投資の新時代の幕開け、英国2024年春季予算案を発表等の最新情報をお届けします。
主要記事
豪州
- オーストラリア:外国公務員に対する贈賄防止の懈怠に関する企業犯罪を導入する法改正 オーストラリア政府は、長年にわたる審議の末、外国公務員に対する贈賄の防止を怠ったことを企業犯罪とする2023年刑法改正法案(Combatting Foreign Bribery)を可決した。この犯罪は、企業の関係者が、企業の利益または利得のために外国公務員に対して贈賄を行った場合に適用される。企業は、その関係者による贈賄を防止するための「適切な手続(adequate procedures)」を実施していることを立証できない限り、責任を負うことになる。
- 米国:下院歳入委員会の租税小委員会が、経済協力開発機構(OECD)の包括的枠組み第1の柱プロジェクトに関する公聴会を開催 下院歳入委員会の租税小委員会は、OECDの包括的枠組み第1の柱プロジェクトに関する公聴会を開催した。この公聴会は、第1の柱の利益A実施に向けた多国間条約の草案及び利益Bの最終報告書の発表以来、第1の柱のみに特化したものである。
- 英国:2024年春季予算案を発表 2024年3月6日、2024年春季予算案が発表された。重要なビジネス税制や政策展開の発表はさほど多くないものの、長期的な成長のための予算と銘打たれ、減税、公共サービスの向上及び投資の拡大を目指すものとなっている。
- アフリカ:アフリカ大陸自由貿易圏投資議定書 - 持続可能な貿易と投資の新時代の幕開け アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)は、今後10年間でアフリカ域内貿易を81%以上押し上げると期待されている。このような利点が確実に得られるよう、持続可能な投資を促進し、アフリカ連合加盟国間の政策や規制を調和させるための議定書が数多く策定されており、その中には投資に関する議定書も含まれている。
- EU:欧州理事会、強制労働により生産された製品のEU域内での流通、EU域外への輸出を禁止する規則案を承認 欧州理事会は、強制労働が用いられた製品のEU市場での流通及びEU市場からの輸出を禁止する規則案を承認した。
- EU: 企業の持続可能性デューデリジェンスに関する指令に基づくデューデリジェンス義務 EUにおいては、企業の持続可能性デューデリジェンスに関する指令(Corporate Sustainability Due Diligence Directive)(以下、「CS3D」)について、2023年12月に欧州連合理事会と欧州議会による暫定的合意がされ、常駐代表委員によるレビュー手続を経て、2024年4月24日に欧州議会により正式に承認された。CS3Dに関する最終法案は、2024年5月に予定される閣僚理事会の正式な採択を経て、発効することになる。CS3Dの検討状況や内容については、このCorporate & Tax Global Updateにおいても随時紹介をしてきたが、その正式採択・発効が現実的なものとなってきたため、改めてCS3Dに基づくデューデリジェンス義務の概要について、簡潔に紹介することとしたい。