欧州:外国補助金に関する規則の導入 – EUで事業活動を行う事業者にインパクト
2022年11月28日、欧州理事会は、EU域内市場を歪める外国補助金に関する規則(以下「本規則」)を正式に採択した。官報への掲載後20日で発効し、その6か月後に適用開始となる。本規則は、M&A取引に大きな影響を与えるものであり、EUで事業活動を行う多くのEU域内外の事業者の負担を大幅に増加させることになる。
日本企業の企業結合対応の実務との関係では、(i) EU域内の対象会社を買収する場合、(ii) EU域内においてジョイントベンチャーを設立する場合、及び(iii) EU域内の企業と合併する場合において、クロージング前の義務として、
1. 本規則に基づく新たな届出義務
2. EU又は加盟国レベルでの既存の企業結合規制に基づく届出義務
3. EU加盟国レベルでの外国投資規制に基づく届出義務
の3つが生じ得る。
本規則は、EUの地政学的な「開かれた戦略的自律性(open strategic autonomy)」を守るための広範な取組の一部である。EU域外の第三国が直接又は間接的に付与する外国補助金によりEU域内市場が歪められるおそれがある場合に、欧州委員会が介入できるようにすることで、公平な競争条件を確保することを目的としている。