経済安全保障・サプライチェーン
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近年の世界的な経済安全保障リスクの高まりにより、各国で経済安全保障に関連する法制度整備/規制強化が進展し、様々な新しい法規制への対応が求められるようになってきています。例えば、製品・技術を輸出する際には、輸出手続を行う国の最新の輸出管理規制(日本の外為法、米国輸出管理規則、中国輸出管理法など)を遵守するとともに、第三国の輸出管理規制が域外適用されるリスクにも留意する必要があります。また、域外適用法令の国内的効力を否定する「ブロッキング規則」を定めている国もあり、域外適用法令と仕向国の法令との抵触リスクも問題となりえます。 また、対内直接投資や対外投資を検討する際には、日本の改正外為法や新たに制定された重要土地等調査法、あるいは米国外国投資リスク審査現代化法(FIRRMA)など、各国における投資規制に留意し、適切に対応する必要があります。加えて、現在、日本において法制化が検討されている経済安全保障推進法(仮称)など、法制度整備には常に動きがあります。 米中対立にみられるような輸出入規制や経済制裁により、自社のサプライチェーンがいかなる影響を受けるのか分析が必要になる場合もあります。例えば、輸入通関に際して、製品の製造プロセスのいずれの段階においても強制労働が用いられていないかが問題となる場合があります。そのようなリスクに対応する必要にも迫られる時代となりました。既に米国やカナダ等の税関では、そのような観点からの執行強化が始まっています。 一方、2022年1月1日に発効した地域的な包括的経済連携(RCEP)協定や、既に発効した日米貿易協定・日米デジタル貿易協定、環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)、日EU経済連携協定(EPA)、日英経済連携協定など、地域協定を通じて国際通商ルールが拡大・充実する中、関税面におけるメリットの享受等、積極的な施策を講じる機会もあります。WTO協定や投資協定の活用等も通じて日本企業が海外に進出する際の現地国の法規制リスク/貿易障壁に対応する方法もあります。 ベーカー&マッケンジー法律事務所においては、世界46法域の76オフィスに、経済安全保障・国際通商分野を専門とする弁護士が数多く在籍しており、豊富な実務経験とグローバル・ネットワークを活用し、企業が直面する様々な法令上の課題に適切なアドバイスを提供しています。 ご相談はお問合せからお気軽にご連絡ください。投資規制
経済安全保障の観点から、各国において投資規制を強化する動きが広がりつつあります。弊事務所では、外為法や個別の業法、新たに制定された重要土地等調査法、米国外国投資リスク審査現代化法(FIRRMA)など、各国の投資に関する法規制に精通した経験豊富な弁護士が数多く在籍しており、企業が直面する投資規制面の課題への法的アドバイスの提供等を行っています。- 日本の外為法/業法関連の法的アドバイス(対内直接投資関連の事前届出、政府との調整等)
- 米国の投資審査(FIRRMAなど)関連の法的アドバイス(対米外国投資委員会(CFIUS)対応が必要か否かの法的分析、米国政府への届出対応等)
- 中国の投資審査(外商投資安全審査弁法など)関連の法的アドバイス(事前申告が必要か否かの法的分析、中国政府への事前相談・申告対応等)
- 欧州各国を始めとするその他の諸外国における投資関連規制への対応
輸出管理
法規制の強化が進んでいる各国の輸出管理規制について、日本の外為法に加え、米国輸出管理規則(EAR)、中国輸出管理法などの各国の輸出管理規制への対応や、各国のブロッキング規制と域外適用法令との抵触への対応に関する法的アドバイスの提供等を行っています。- 日本の外為法関連の法的アドバイス(輸出管理の許可取得・パラメーターシート作成、社内体制構築支援等)
- 米国の輸出管理規則(EAR)関連の法的アドバイス(EAR対応が必要かの分析、米国政府への許可申請・取得、違反時の是正対応等)
- 中国の輸出管理法関連の法的アドバイス(許可取得が必要か否かの分析、中国政府への許可申請・取得)
- 上記以外の各国における輸出管理規制対応
- 各国の輸出規制法令のアップデート
- M&A時,M&A後における輸出管理コンプライアンス対応
- 事業承継等における輸出管理コンプライアンスの円滑な移行の支援
経済制裁
対象範囲の拡大が進んでいる各国の経済制裁について、既存の契約やそれに基づく対応が制裁対象となるか否かの法的分析の提供や、経済制裁リスクを最小化するための法的アドバイスの提供等を行っています。- 日本の外為法関連の法的アドバイス(国連決議に基づく制裁や日本独自の制裁への対応等)
- 米国の経済制裁関連の法的アドバイス(直接の制裁対象か否かの分析、二次的制裁のリスクの検討、財務省外国資産管理室(OFAC)へのライセンス申請・事前相談等)
- EUの経済制裁関連の法的アドバイス(制裁対象か否かの分析、ライセンス申請・事前相談等)
- その他経済制裁コンプライアンス対応
- AML(Anti Money Laundering)/CFT (Countering the Financing of Terrorism)(マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与防止対策)
秘密特許制度/知財・無形資産ガバナンス
現在法制化が検討されている経済安全保障推進法(仮称)における重要な項目となっている秘密特許制度は、企業の知財戦略にも影響を及ぼす可能性があります。折しも、コーポレートガバナンスコードの改訂により、従来の知財管理の手法からさらに一歩進んだ、経営戦略と融合した知財戦略の立案の公開が企業に求められている中で、当事務所では秘密特許制度も視野に入れたグローバルな知財管理・知財戦略の立案のお手伝いをしています。- グローバルな知財管理、IP管理会社による管理の戦略、ライセンス戦略の提案
- 知財管理・ライセンスと税務問題についてのアドバイスの提供
- データガバナンス、データ管理、マネタイゼーションについてのアドバイス
サイバーセキュリティ/データ安全/ガバメントアクセス
国家間の緊張を背景に、グローバルなデータ管理、システム管理に関する法規制への注意が必要となっています。各国サイバーセキュリティ法による要求、政府によるデータへのアクセスの危険や遮断の可能性、データ移転に対する規制などを考慮したシステム構築やデータ管理について、法的リスクという観点からのアドバイスをご提供します。- 中国サイバーセキュリティ法、暗号法、個人情報保護法対応
- 米国等における政府によるデータアクセスの危険性のアセスメント及びシステム構築のアドバイス
- 日本のサイバーセキュリティ基本法における要求事項への対応の支店
半導体サプライチェーン再構築戦略
世界の主要国及び日本政府は、重要戦略物資としての半導体供給網の脆弱性を評価分析し、半導体供給網の再構築による強靭化に関して多大な支援と対策を行うことを発表しています。具体的には、半導体製造・研究開発等に関する国内投資資金援助プログラムの創設や先端半導体海外サプライヤーの国内誘致、半導体製造技術に関する輸出管理強化等の手段を駆使して半導体サプライチェーンの強靭化に努めています。当事務所では、海外オフィスと連携し各国の最新情報を基に幅広いサポートを提供しています。- 半導体関連産業のクロスボーダー投資規制(対米・対日を含む)関連の法的アドバイス及び政府機関との交渉支援
- 各国輸出管理規制関連アドバイス(輸出管理規制対応が必要か否かの分析、輸出許可申請サポート等)
- 半導体関連製品等の関税分類についての支援(WCOでの議論への支援)
- 輸入事後調査における支援
- 半導体サプライチェーンの分析・戦略支援
資源・エネルギー関連
経済安全保障において、原料・部品も含めて資源・エネルギーの調達を確保することは重要なファクターとなります。レアメタルの供給不足や、半導体の不足、自動車部品の調達の遅れ等が、サプライ・チェーンに深刻な影響を及ぼしつつあります。コロナ禍とも相まって、自動車・機械等の納期の遅れが顕著になりました。資源・エネルギーに関しては、各企業の問題に留まらず、政策的な問題とも深く関わってきます。弊事務所では、資源・エネルギー関連事業との関係を基に、分析・検討を進め、お客様に対する的確な法的支援を行っております。- 資源・エネルギー関連プロジェクトにおける法的支援(経済制裁コンプライアンスを含む。)
- 政府調達規制に関するアドバイス
- 資源・エネルギー関連法制におけるアドバイス
- 資源・エネルギー関連紛争におけるアドバイス
サプライチェーンにおける人権問題
サプライチェーン上の人権問題を理由として、経済制裁措置、輸入禁止措置等が取られるケースが増えており、現代奴隷、人身取引、児童労働を始めとするサプライチェーン上の人権侵害リスクへの対応が必要となっています。弊事務所では、各国事務所と連携して適切な法的アドバイスの提供等を行っています。- サプライチェーン上の人権問題を理由とする輸入差止措置等の解除に向けた、各国税関との調整、異議申立支援
- サプライチェーンの人権リスクのレビューに関する法的アドバイス(サプライヤーとの契約におけるCSR条項の作成・交渉、効率的な監査の実施方法、調査項目の検討等)
WTO協定、経済連携協定(EPA)・自由貿易協定(FTA)/ 投資協定(BIT)/アンチダンピング・貿易救済
企業の海外展開や輸出入規制、サプライチェーンを含めたビジネス・モデルの検討等に伴う国際通商面の様々な課題について、クロスボーダーで協働しつつ、各種通商ルール(WTO協定、EPA/FTA、投資協定等)に基づく法的アドバイスの提供や、国際機関における議論の支援、各国政府との交渉、紛争解決対応等のお手伝いをしています。- WTO協定に関する法的アドバイス(協定整合性の分析、政府との交渉等)
- 関税・原産地規則に関する法的助言(EPA/FTAの活用等)
- WTO紛争解決手続(DS)への対応
- 投資協定(BIT)に関する法的助言/投資仲裁等の投資家対国家紛争解決手続(ISDS)への対応
- 外国政府によるアンチダンピング、相殺関税、セーフガード措置への対応
- 関税分類の議論についての支援
最新情報
- 【ウェビナー】Asia Pacific International Commercial and Trade Webinar Series(2022年1月27日まで Japanセッションは2022年1月20日)
- 【ウェビナー】2022: International Trade Developments in a Challenging New World(2022年通年)
- RCEP: 2022年1月1日発効/RCEP – Coming into force on 1 January 2022(2021年12月27日)
- 中国「反外国制裁法」の概要と留意点(2021年11月29日)
- 中国「外国の法律及び措置の不当な域外適用を阻止する規則」の概要(2021年11月15日)
- 中国輸出管理法に基づく「内部コンプライアンスガイドライン」の概要(2021年11月15日)
- 米国財務省外国資産管理局(OFAC)が、仮想通貨産業向けの制裁コンプライアンス・ガイダンス及び FAQ の更新版を公表(2021年11月15日)
- 米国税関による強制労働等に関連した輸入差止め等の執行強化への対応策(その2)(2021年10月15日)
- 日本政府が、中華人民共和国及び大韓民国を原産地とする溶融亜鉛めっき鉄線に対する不当廉売関税の課税に関する調査を開始(2021年8月30日)
- 米国税関による強制労働等に関連した輸入差止め等の執行強化への対応策(2021年8月16日)
- 中国輸出管理法の概要(2021年7月15日)
- 外国の制裁措置への対抗措置を定めた「中国反外国制裁法」が成立(2021年7月2日)
- 日本政府が中国によるアンチ・ダンピング課税措置に対するWTO協議要請を実施(2021年6月22日)
- 防衛関係施設や重要インフラ等の周辺区域の土 地及び建物の利用状況に関する調査権限や利用 規制等を定める「重要土地等調査法案」が閣議 決定(2021年4月13日)