ベーカーマッケンジー、2018年度の年間業績を発表
（本リリースは2018年8月6日、グローバルで発表したプレスリリースの抄訳です）
- フィー収入は前年度比10%増の29億米ドル、世界全地域で成長拡大
- パートナー1人当たりの収益は前年度比13%増
- 更なる成長に向けて業務のデジタル化とクライアントサービスの最適化を推進
【グローバル発 2018年8月10日】ベーカーマッケンジーは、2018年度（2017年7月1日から2018年6月30日まで）の年次決算において、全世界のフィー収入が29億米ドルに達したと発表しました。為替変動の影響を除いた実質ベースでの対前年度増収率は10%、米ドルベースでは8%の増収となりました。パートナー1人あたりの収益（PPP）も13%の増加となりました。
こうした成長の理由としては、依然として活発な大型のクロスボーダー案件や、創造的ソリューションが求められる新規分野の案件など、世界各地で数多くの大型ディールを受任したことが、大きく貢献しています。また、各種法律分野のみならず産業分野ごとに特化された専門性の強化と、継続的な信頼関係の構築に向けたクライアントプログラムへの長期的な努力について、高い評価が得られたことも挙げられます。さらに、業務効率化のためのプロジェクト・マネジメントの活用、世界各地のローコスト地域におけるリーガルサポートサービス部門の強化、より効果的なクライアント関係の管理運用に向けた積極的な投資などの施策により、収益力の向上がもたらされたという点も指摘できます。
法律事務所の国際化が進むなかでも、ベーカーマッケンジーは依然として世界有数の地理的多様性・中立性を誇るグローバルローファームであり、2018年度のフィー収入全体に占める地域別の割合は、アジア・太平洋地域が26%、欧州・中東・アフリカ地域が39%、北米・ラテンアメリカ地域が35%となっています。
ベーカーマッケンジーのエグゼクティブ・コミッティのチェアマンであるポール・ローリンソン（Paul Rawlinson）は、「クライアントの役に立ちたいという純粋な目的があってこそ、世界的な成功を収めることができます。この目的を達成するために、私たちは産業分野・業務分野・クライアントに関するプログラム、そして人材に投資するのです。パートナー1人あたりの利益が13%増を達成するなど、2018年度も素晴らしい業績を収めることができましたが、これは、信頼を通じて相互に利益を生み出すクライアントとの長期的関係がもたらしたものです。企業が価値を認めるサービスを提供することが次の仕事につながり、将来への投資が可能になるのです」と述べています。
イノベーション
また、ローリンソンは、「私たちは現在、専門家およびビジネスサービス部門のさらなる効率化に向けた包括的なプログラムに着手しています。本プログラムは、サービスの効率と品質とを最大限に高めることで業界水準を覆しこれに挑戦し続けるため、テクノロジーの活用方法を転換し、その恩恵をクライアントと共に享受することを目指しています。大きな期待を寄せると同時に、本プログラムの実施にあたり、クライアントの皆さまの変わらぬご支援と所員の献身に感謝申し上げたいと思います」と述べています。
さらに、ローリンソンは、「ベーカーマッケンジーは、真の意味でグローバル規模で統合されたデジタル・イノベーション・プラットフォームを提供する唯一のローファームであり、このことが既に私たちの業績に直接的なインパクトをもたらし始めています。ベルファストを拠点とするオルタナティブ・リーガルサービス、eディスカバリー・プラットフォーム、そしてリーガル・プロジェクト・マネジメント手法の活用により、既にクライアントにおける大幅な業務効率化とコスト節減を実現するとともに、我々にも5千万ドル以上の売上増をもたらしていると試算しています。世界各地の人材と強力なリーダーとを結び付け、グローバル共通のテクノロジーを起用・活用することで、新たな業務拡大の機会を獲得することができます」と述べています。
成長に向けた取り組み
当ファームは2018年度も拡大を続け、直近では、定評のあるパートナー陣を外部から迎えて、新たに米国・カリフォルニア州にロサンゼルス事務所を開設しました。また、ロンドン、ニューヨーク、中国におけるトランザクション部門への大規模な投資は、十億ドル規模のディールにおいてリードカウンセルとして受任した案件数の増加、そして数多くの経験豊かな弁護士の採用というかたちで効果を示しています。2018年度中、ベーカーマッケンジーでは1日平均3件のディールがクローズを迎えました。リーガル／プロジェクトマネジメント、プライシング、クライアント／プラクティスマネジメント分野への今後の投資は、当ファームが現在進めているイノベーションの取り組みと密接に関連しています。
2019年度の初めには、サービスの質と有効性のさらなる向上を目指すプログラムを開始しました。ベーカーマッケンジーは先ごろ、ベルファストのグローバルサービスセンター※1を拡張する計画を発表しましたが、近く、ベルファストおよびマニラにある既存のシェアード・サービス・センター※1を補完する新たなチームの開設を発表する予定です。シェアード・サービス・センターの強化により、組織全体におけるより一層の効率化が期待されます。
主要なサービス部門
2018年度は、ほぼ全てのプラクティスグループおよび産業グループにおいて、大幅な増収となりました。特に優れた業績を収めた部門としては、通商、雇用、キャピタル・マーケット部門が挙げられます。また、産業部門では、金融サービスおよびヘルスケアグループが最も高い成長率を示しました。
2018年度の主要実績
ベーカーマッケンジーは、世界的に極めて重要な取引・案件においてアドバイスを提供しています。
- KnaufがUSG Corporationを約70億ドルで買収した案件において、リードカウンセルとしてアドバイスを提供。
- 天然ガス供給事業を手がける上場企業Gas Natural S.A.E.S.P.の株式59.1%を約5億6千万ドルで取得した案件において、リードカウンセルとして、Brookfield Infrastructure Partnersにアドバイスを提供（ボゴタ事務所およびニューヨーク事務所）。
- Shireのオンコロジー事業を約24億ドルで買収した案件において、リードカウンセルとして、フランスの製薬企業Servierにアドバイスを提供。これにより、Servierは米国における事業拠点を獲得した。
- デンマークの電気通信企業TDC A/Sの株式公開買付け（買収額約67億ドル）に関して、DK Telekommunikation、およびMacquarieがとりまとめるコンソーシアムを代理。
- 米司法省による異例のオフショア口座の取締りに関して、スイスの銀行40行のコンソーシアムを代理。
- 2016年にStanCorp Financial Groupを約57億ドルで買収・合併したことに端を発する4件の株主集団訴訟において、明治安田生命保険を代理。
- マドリード初のカジノホテルの運営権（20年）獲得に向けた画期的な取引に関して、世界最大規模のホテルグループMarriotにアドバイスを提供。
ブランド力と評価
ベーカーマッケンジーの革新性と法律業界におけるリーダーシップは、2018年度も各種メディアや評価機関により高く評価されました。
- クロスボーダー案件の取り扱い数に関し、過去10年間にわたり世界1位を獲得（トムソン・ロイター社調べ）。ベーカーマッケンジーが扱う案件の65%以上がクロスボーダー案件。
- 新興市場に関わる案件の取扱い件数（公表案件数および完了案件数）に関して、13年連続で首位を獲得。
- Acritas社が実施する国際法律事務所のブランドランキングで8年連続首位に選出。
- Working Mother誌、Law360、およびEuromoneyにより、女性にとって最も働きやすい法律事務所の1つとして選出。
- Stonewallによる「Top Global Employers 2018」に選出、「Global LGBT Network Award」を受賞。
- Chambers Globalのグローバルガイド2018年版において、他の法律事務所を上回る多くの項目で高く評価される。
所員構成等
- 2018年度は、トップファームの優秀な弁護士、経験豊かな大手多国籍企業の社内弁護士など、53名のパートナーを外部より採用。例年通り取引分野の専門性の強化に重点を置き、特に重要拠点として位置付けるロンドン、ニューヨーク、中国における新規採用数が全世界における採用数の4分の1を占めた。
- 2018年6月に所内昇格による67名の新パートナーの選出を発表。これにより、2018年7月1日付で、パートナー数は全世界で約1,600名となった。昇格した新パートナーのうち40%が女性。
- 女性が占める割合は全弁護士の42%、全パートナーの26%。
- 有償業務時間（ビラブルタイム）は全世界合計で850万時間に増加。
今後の展望
今後の展望について、ローリンソンは、「私たちはこの1年間を誇りを持って振り返ることができます。世界経済と法律業界が直面する様々な不確実要素にも関わらず、この10年間で最も高い成長率を実現し、業績を伸ばすことができたことに加え、私たちには明確な長期戦略があり、パートナー陣は共通の目的とビジョン、戦略的優先目標のもとに一致団結しています。また、先ごろファーム内で実施したアンケートでは、多くのスタッフがベーカーマッケンジーに誇りを持っていることが確認されました。クライアント、そして所員に対する当ファームのコミットメントが実を結んでいるのだと思います。市場の状況が非常に厳しい中、このようなフィードバックが得られることは大いなる自信になります」と述べています。
※1 ベーカーマッケンジーでは、英国・ベルファストや、フィリピン・マニラに、24時間365日稼動のデータセンターやサポートセンターを設置しており、これらのセンターは、所員に対して、必要なデータや、翻訳や文書作成といった事務サポートを提供しています。