ベーカーマッケンジー、2019年度の年間業績を発表
(本リリースは2019年8月29日、グローバルで発表した英語版の抄訳です)
- フィー収入は前年度比4.4%増の29.2億米ドル、世界全地域で成長拡大
- パートナー1人当たりの収益(PPP)は前年度比3%増
- 更なる成長に向けて業務のデジタル化とクライアントサービスの最適化を推進
- ダイバーシティ&インクルージョンを通じた人材面において業界をリード
【グローバル発 2019年8月29日】ベーカーマッケンジーは、2019年度(2018年7月1日から2019年6月30日まで)の年次決算において、全世界のフィー収入が29.2億米ドルに達したと発表しました。為替変動の影響を除いた実質ベースでの対前年度増収率は4.4%、米ドルベースでは、不利な為替レートの変動にもかかわらず、1.2%の増収となりました。
ベーカーマッケンジーは世界において最も広い地域をカバーするグローバルローファームですが、2019年度はそのカバーする全ての地域で成長を記録しました。具体的には、欧州・中東・アフリカ地域が5.2%、アジア太平洋地域が2.1%、ラテンアメリカ地域が9.0%、北米地域が4.0%の成長となりました。
市場において需要が横ばいの状況にもかかわらず、フィー収入、純利益、利益率、パートナー1人当たりの収益(PPP)および弁護士1人当たりの利益、これら全ての主要な財務指標において、前年比で改善が見られました。パートナー1人当たりの収益に関しては3%の増加、純利益は前年同期比で2%の増加となりました。過去10年間で見ると、収益が40%増、パートナー1人当たりの収益が50%増となり、多くの競合事務所を上回っています。
特に、イスタンブール、ブエノスアイレス、プラハ、ボゴタ、ロンドンおよびワルシャワの各オフィスでは、2けた台の大幅な成長を成し遂げました。
ベーカーマッケンジーの会長代理であるJaime Trujillo(ハイム・トルヒーヨ)は、「困難な市場の状況の中、全オフィスが連携し、フルサービスを提供し続けるというコミットメントに徹したことで、4.4%の成長を記録できたことは喜ばしいことです。これらの成長は、リーガルサービスへのたゆまぬ投資、低コスト地域における高品質のサポートセンターの設置、さらにはクライアントとのより緊密な関係構築により達成できたと考えています。また、産業分野、業務分野、クライアントプログラムに関する長期的な投資もこの結果に寄与しています。特に、下半期には地理的あるいは政治的な諸般の問題が発生し、クライアントがプロジェクトを中止または延期せざるを得ない状況が見られたことからすると、顕著な業績といえます。また、私たちは、世界において最も広い地域をカバーするプロフェッショナル・サービス企業の一つであり、それは大きな強みではありますが、同時に米ドル高の影響を受ける市場では厳しい状況ともなりうる点についても申し添えたいと思います」と述べています。
ダイバーシティ&インクルージョンを通じた人材面において業界をリード
さらに、Trujilloは「過去3年間、ベーカーマッケンジーではどの法律事務所よりも多くの女性パートナーが昇進を成し遂げています。6月には、女性、男性、フレキシブル(ノンバイナリ―)比率の新たな『40:40:20 グローバル・アスピレーショナル目標』の導入を発表し、当ファームが公平でインクルーシブな職場であり、全所員に最高の職場環境を提供できるよう、引き続き全力を尽くしていくことが明確にされました。私の同僚であるConstanze Ulmer-Eilfortが述べたように、グローバル・ローファームとして世界で初めて女性の会長を選出した20年前から、ベーカーマッケンジーが業界で主導的な役割を果たしていることを改めて誇りに思います。」と述べています。
ベーカーマッケンジーは、ダイバーシティ&インクルージョンへの取り組みをさらに進める「PointONEプログラム」を5月に発表しました。これは相互に尊重し合い、安全でインクルーシブな職場環境を提供するファーム全体のコミットメントを表しています。PointONEプログラムが全てのオフィスに導入されたことで、明確な行動規範の伝達方法を確立し、懸念事項が発生した場合の安全でアクセスしやすい報告ルートを提供することが可能になりました。
クライアントのための成長に向けたベーカーマッケンジーの取り組み
ベーカーマッケンジーは2019年度に、特にクライアント向けサービス提供に対する投資に注力し、サービスセンターを米国のタンパとアルゼンチンのブエノスアイレスに設置しました。マニラとベルファストにある既存の拠点と併せて、これらのセンターではビジネス・サポートを提供し、さらにタンパとベルファストでは、リーガル・サポートについても提供します。
また、クライアントに価値を創出し、さらにコスト削減を実現するためのサービスを拡大しています。具体的には、プロジェクト・マネジメントおよび価格設定の分野で、リーガルサービスチームに大幅な人員の増強を実施し、クライアントのニーズに対して最も革新的で効率的なソリューションを提供することが可能となりました。クライアントは、以前に増して新しいテクノロジーを活用したサービスを求めており、グローバルeDiscovery・データ関連アドバイスのサービスに関しては、今期の収益は倍増しました。
大幅なテクノロジーへの投資は他にも、全世界レベルで所員のリモートワーク環境を改善させるために、
ネットワークのアップグレード実施や、クライアント開発とクライアント業務を管理するためのIntappのDealCloudの導入も行いました。
より良い世界のための投資
私たちは、良き企業市民としての責務を重く受け止めています。当ファームは今年、国連の持続可能な開発目標に沿った企業戦略を策定し、この目的のために私たちが最大の影響力を発揮できるエリアを見出すべく、広範なフィージビリティ・スタディを実施しました。私たちは、クライアント、政府、国際機関及び市民社会とこれらの取り組みについて協働できる立場にあります。この他にも新たにグローバルでプロボノ機能を構築したこともあり、これらの実施により、世界中の様々なイニシアチブの推進を最大限にサポートすることができると考えています
主要なサービス部門
2019年度は、貿易および雇用の部門が好調に推移しました。多くの国で厳しい市場環境であったにもかかわらず、M&A、プライベート・エクイティ、キャピタル・マーケットなどのトランザクション関連業務は、依然としてかなりの成長を示しています。産業分野では、テクノロジー・メディア・通信、ヘルスケア、エネルギー・鉱業・インフラストラクチャーの各産業で高い成長率を示しました。
2019年度の主要実績
ベーカーマッケンジーは、世界の中でも極めて重要な取引・案件においてアドバイスを提供しています。
- Facebookに、コンテンツの適正化を図るためのOversight Board(監視委員会)に関する提案の開発と設計に関するアドバイスを提供。
- 日立製作所がABB Ltd.の電力網部門を約64億ドルで買収する案件にてアドバイスを提供。
- ドイツの家族経営のレクリエーション・ビークル・メーカー、Erwin Hymer Group SEの発行済株式21億ユーロを取得した米国のレクリエーション・ビークル・メーカー、Thor Industries, Inc.のリードカウンセルとしてアドバイスを提供。
- 豪州コモンウェルス銀行のコロニアル・ファースト・ステート・グローバル・アセット・マネジメントを29億米ドルで買収した三菱UFJ信託銀行にアドバイスを提供。
- ベーカーマッケンジーおよびリーガル・アドバイザーズは、サウジアラビアの上場銀行であるAlawwal銀行に、サウジアラビアの上場銀行であるThe Saudi British Bankとの合併についてアドバイスを提供。買収額は約49億米ドルにのぼりサウジアラビアにおける上場銀行2行間での初の合併案件、またサウジアラビア証券取引所上場企業における2社合併の最大規模。
- ペルーの電力会社Corporación Transmantaroに、同国初の4億米ドルのグリーン・ボンドの組成に関するアドバイスを提供。
- シンガポールと香港のクロスボーダーチームは、LGT Group Foundationに対し、中国のニューエコノミービジネスに特化した投資銀行であるChina Renaissance Holdings Limitedへの基盤となる投資についてアドバイスを提供。China Renaissanceは、2018年9月に香港証券取引所に上場し、新期株式公開は3億4,700万米ドル規模。
ブランド力と評価
ベーカーマッケンジーの革新性と法律業界におけるリーダーシップは、2019年度も各種メディアや評価機関により高く評価されました。
- クロスボーダー案件の取り扱い数に関し、過去12年間にわたり世界1位を獲得(トムソン・ロイター社調べ)。ベーカーマッケンジーが扱う案件の70%以上がクロスボーダー案件。
- 新興市場に関わる案件の取扱い件数(公表案件数および完了案件数)に関して、14年連続で首位を獲得。
- Law360による年次調査で世界有数の法律事務所に選出。
- Acritas社が実施する国際法律事務所のブランドランキングで9年連続首位に選出。
- Working Mother誌、Law360、およびEuromoneyにより、女性にとって最も働きやすい法律事務所の1つとして選出。
- Stonewallによる「Top Global Employers 2019」に選出、「Global LGBT+ Network of the Year」を受賞、さらに「Top Trans Employer」のトップ10企業リストに2年連続選出。
- Chambers Globalのグローバルガイド2019年版において、他の法律事務所を上回る多くの項目で高く評価される。
所員構成等
- 2019年度は、トップファームの優秀なローヤー、経験豊かな大手多国籍企業の社内弁護士など、34名のパートナーを外部より採用。
- 2019年6月に所内昇格による81名の新パートナーの選出を発表。これにより、2019年7月1日付で、パートナー数は全世界で約1,500名となった。昇格した新パートナーのうち40%が女性。
- 女性が占める割合は全弁護士の44%、全パートナーの26%。
- 2019年6月、女性40%、男性40%、およびフレキシブル20%(女性、男性もしくはノンバイナリー)の比率40:40:20を、ジェンダーダイバーシティのグローバル・アスピレーショナル目標として法律事務所として初めて策定したことを発表。この目標は、パートナー、シニアビジネスプロフェッショナル、ファームコミッティのリーダーシップ、および採用候補者を対象に適用。
今後の展望
Trujilloは最後に、「この1年間を振り返ると、当ファーム70年の歴史でも特に大きな困難に直面した時期もありましたが、一丸となって問題に対処してこれたことを非常に誇りに思います。地理的・政治的な不透明感に伴うクライアントの需要の低迷、新規参入による競争激化、市場全体の衰退といった原因で、業務全体としては穏やかな12ヶ月ではありませんでした。強靭性、経験、そして全てのパートナーの強力なリーダーシップを持つ私たちのようなファームこそが、将来直面する課題に自信を持って立ち向かうことができるのです」と述べました。