座談会

  • 田中和美(73期)

    ローテーション

  • 辻安希子(72期)

    銀行・金融

  • 前川萌(70期)

    コーポレート

  • 簾田桂介(65期)

    不動産、銀行・金融

世界の同僚、学びの選択肢、憧れの存在。
これぞベーカーマッケンジー!

――ベーカーマッケンジー(BM)を選んだ理由は?

前川サマージョブのときに、複数の法律事務所をインターンで回ったのですが、働いている方たちの雰囲気が自分に合っていると感じたのがBMでした。担当のパートナーの先生が、「忙しそうにしていても気にせずに、わからないことがあれば何でも聞いて」とおっしゃってくださり、親身に相談にのっていただきました。世界中に同僚がいるという環境にもおもしろさを感じました。

私も、ジョブのときにお会いした先生方が皆さん楽しそうに仕事をしているのが印象的でした。英語を使った仕事を希望していましたが、BMなら海外案件も多いですし、国内の案件もきちんと扱っています。そのバランスのよさも決め手となりました。

田中「弁護士になったら最初の5年間でどんな経験を積むか」と自問し、英語の案件に数多く触れようと決めました。インターンに行って、いろいろな方の話を聞くと、国内大手の事務所は英語の案件数に限度があること、仮にあったとしても帰国子女の弁護士に回ってしまうことが多いと知り、案件の絶対数が多いBMを選びました。

簾田英語の案件数も含めて、業務の幅が広いのがBMの特長です。私は5年前に転職で入所しましたが、以前の事務所では英語の案件はほとんどありませんでした。当時からファイナンスを中心に担当していて専門にすると決めていましたが、ファイナンスにもいろいろ種類があります。例えばコーポレートファイナンス、プロジェクトファイナンス、買収ファイナンスなどなど。BMなら多くのファイナンスが経験できます。海外案件で仕事の幅を広げたい、同じファイナンスでもいろいろな案件を担当してみたいという夢を叶えるため、迷わずBMを選びました。

――入所してからの「教育」は?

ローテーション制度はとても良かったです。これは入所後1年間かけてすべてのグループの仕事を見て、最終的に自分の希望を決めるというシステムです。数年前の自分を振り返ってみても、今ジョブで来て下さる学生さん達のお話を聞いてもですが、机上で法律の勉強をしている段階においては、それが実際にどのように仕事で使われるのかをイメージするのは難しいということを痛感していました。ローテーションは実際の仕事のイメージがつかめる貴重な経験です。

前川ローテーションの導入期間が1年というのも、私にとって適切でした。私は最初からコーポレート/M&Aグループを志望し入りましたが、Banking & Financeグループの業務を経験したら、すごくおもしろかったんです。最後の最後まで、2つのどちらに希望を出すか迷ったほど。興味があると思っていた分野が想像していたのと違うこともあるし、全然関心がなかったり、ハードルが高いと避けていた分野がとても興味深かった、ということもあるでしょう。ローテーションは、さまざまな分野の先生方と仕事をする機会でもあり、各先生の仕事の進め方を間近で見れたのも勉強になりました。

田中私はまさに今、ローテーション中ですが、皆さんのお話を伺っていると、コロナ禍だからといって制度の本質は変わっていないと感じます。オンラインが増えたくらいですね。

海外研修もよい経験でした。2020年1月にロンドンで3週間研修させていただき、現地の語学学校に通い、BMのロンドンオフィスにも行きました。

前川ローテーション中に、各グループで各アソシエイトに向けたトレーニングを実施しますし、グループを超えた全体の勉強会もあります。海外の弁護士が来て、その国の経済状況や仕事についてセッションしてくれることも。今はコロナで行けていませんが、コロナ前は年次ごとにアソシエイトがどこかの国に集まって一緒にトレーニングや勉強会をするイベントがありました。私も1年ぐらい前にバンコクで同世代の人たちと交流する機会を得ました。一度顔を合わせると仲間意識が芽生え、メールだけのやり取りとは違った関係性が築けます。

――先輩との関係は?

簾田入所前、BMは外資系ということもあって、パートナーが基本的に案件を仕切って、アソシエイトは指示されて動くというスタイルだと思っていました。でも全然違いました。パートナーの信頼を得るとアソシエイトに案件が任され、自分でハンドリングすることもあります。フレキシブルな働き方ができる職場というのが入所後の第一印象でした。アソシエイトだからといって小さくまとまるのではなく、プロアクティブに取り組めます。

前川そうなんです。2年目に、それまでに関与していた中では比較的大きい案件を担当したときのことです。当時は「自分はまだ年次が下」という意識があって、若干消極的な姿勢で関与していたところ、パートナーの先生から、「この案件は『自分1人で回していく』くらいの気持ちがないとダメだ」とご指摘を受けました。それから意識を変えて、契約の締結からクロージングまで“自分事”として全力で取り組みました。すべてが完了したときに、先生から、「あなた(アソシエイト)と私(パートナー)は単純に経験年数が違うだけで、1人の法律家として対等です。最後までよくやってくれてありがとう」という言葉をいただきました。組織の中の“たくさんいるうちの一人”ではなく、きちんと一人の弁護士として見てくださって、すごくありがたいと感じました。

田中私はリクルートのときに面倒を見てくださったパートナーの先生が印象的で、それもあってBMを選びました。その先生は自分に厳しく、他人にも厳しく、仕事のクオリティーが高く、「この人に褒められるとうれしいな」というのがあって、その方のために仕事をしてみたいと思ったんです。

簾田すごくうらやましい! 幸せな先生ですね。

前川 私は同じグループの女性パートナーの先生を、自分のロールモデルにしています。仕事に対する姿勢も尊敬していますが、アソシエイトたちの仕事状況を細かく気にかけてくださるんです。「ある程度任せてもよい」という信頼を得られたら、裁量を持ってやらせていただけるし、主体的に動くことを評価してくださいます。自分も後輩に対してはそういう人間でありたいと思っています。

 Banking & Financeグループの女性の先輩方は、仕事面で色々な分野を経験されていて、仕事で分からないことはもちろん、女性ならではのキャリアパスについてのアドバイスもしてくれる、憧れの存在です。

前川 憧れの先輩の話をするときって、照れくさいですね。

一同 確かに(笑)

簾田 パートナーになってくると、単純な弁護士の仕事というよりは経営や管理職的な要素が強くなってきます。お客さまをいかに獲得するかとか、お客さまの期待にいかに応えるかとか。そういう中で、弁護士の仕事をきちんとやり、アソシエイトのマネジメントをしつつ、絶対に仕事の手を抜かないできちんと自分で見ているという先生を尊敬しますね。

人と社会の安心と成長に貢献する仕事

――仕事で喜びを感じることは?

去年担当していた案件で、しばらくペンディング状態になっていたものが最近再開しました。以前自分が作った契約書を見返したところ、「ここは直したほうが更に良い」という箇所がいくつか出てきました。以前契約書を作成した頃の自分より、少しだけ契約条項の意味を深く正確に理解できるようになったのかもしれないと、微々たることですが小さな成長を実感しました。チームのメンバーやクライアントから、「ありがとう」と言っていただけるのも原動力になっています。

前川私も同じですね。自分はもともとチームプレーが好きなほうだと思うので、チームで最後までやり遂げることに、大きな喜びを感じます。

簾田この仕事のやりがいは2つに分けられると思っています。一つはお客さまから感謝されたり、パートナーに自分の仕事を評価されること。もう一つは、「そもそもなぜ、この仕事をやっているのか」と考えると、自ずと答えが見えてきます。私は再生可能エネルギーを専門としていますが、ちょっと大げさな言い方をすると、個人的に、環境問題は21世紀に人類が絶対に解決しなければいけない問題だと思っています。そのために、自分の仕事が役に立っていると実感できるのは、すごくうれしいですね。もちろん大変なこともあります。扱っている案件が大きくなればなるほど、自分がミスしたときの金額的な負荷は重くなりますし、時間的にもタイトな案件も多い。そのプレッシャーは常にあります。

――近い未来のキャリア像は?

田中入所の段階で、5年の間に英語の案件の経験を積むという目標を掲げたので、5年後には海外との会議で英語で発言し、英文の資料を日本語と同じようにスムーズに読みたい、というのが、何となく描いている青写真です。その土台が整った上で、自分の専門分野を見つけていきたい。

グループ配属が決まってから2か月が経ちます。先輩方を見ていると、自分もグループ内の色々な分野の仕事を経験し、数年後の留学を経て、専門を絞っていくことになりそうです。まずはチームやクライアントの役に立てる弁護士になること、そしていつか誰かに「仕事している姿がかっこいい!」と言ってもらえるようになることですね。

簾田弁護士として今の仕事を積み重ねて、お客さまに信頼していただくのは前提として、最近はもう少し政策的なことに関わっていきたいという気持ちが強くあります。留学で勉強した内容も法政策的なことが多かったし、実務の中から政策に関わっていくということもあるでしょう。どのような形になるかわかりませんが、自分の担当している法分野の政策に影響を持てるような立場になりたいです。

前川現在の目標は、「前川さんはここに精通しているね」と言われるような、自分なりのカラーを持つ弁護士になることです。何年か先に留学に行くことになると思うので、それまでには「自分はこれだ」といえるものを見つけたい。そして、腰を据えて勉強ができる貴重な期間に、留学先で他国の学生たちと交流し議論しながら、専門性も含め自身の弁護士としての在り方を模索し、帰国してから自信を持って自分のカラーを出せるように、また、仲間から一緒に仕事をしたいと望まれるような存在になりたいと思っています。

変化の時代の弁護士像をともに

――BM入所を希望する人へメッセージを。

田中私はいま、「自分は何に興味があり、何が得意なのか」を模索している最中ですが、それって入所してからでなければできないことではなく、学生の頃からできたことだったんですよね。学生時代に周りに対する感覚を鋭くして、いろいろな情報を積極的に収集しておけばよかったなと思っています。これから弁護士を目指す人には、感度の高いアンテナを持つことをおすすめしたいです。

BMは仕事の幅が広いので入所してからの選択肢が多く、ユニークな事務所です。ローテーションの間は、様々なグループの人と仕事をする機会があるので、柔軟に多様な経験をして、多くのことを吸収して頂けたらと伝えたいです。

前川外資系の事務所ということで、英語に自信がない方は選択肢から外してしまうかもしれませんが、BMでは国内の案件も経験を積むことができます。それに世界中に同僚がいて、メールやチャットですぐに議論ができるという環境で仕事ができるのは、非常に恵まれていると思います。あまりハードルを上げずに、サマージョブに来ていただく、説明会に来ていただくだけでもいいので、関心を持っていただけたらうれしいです。

実際、BMは帰国子女の方が多いというわけではなく、最初から英語がものすごく出来る人だけが入所しているわけでもありません。

簾田例えば、留学前のジュニアアソシエイトが一人だけで英語の会議に出て、英語で議事録を取ってくれと、頼まれることはないです。そういうときは、英語が堪能な留学帰りのアソシエイトやパートナーが入ってくれるので、そこは心配しなくてよいと思います。

前川帰国子女ではなくても、仕事をしていると業務には困らないレベルには英語が上達すると思います。使わざるを得ない環境におかれると伸びるのは早いです。

簾田ほかの業界も同じでしょうが、いま弁護士も変化せざるを得ない状況にあると思うんです。弁護士の仕事の中身も仕事の進め方も、変わってきていると感じています。それに対応するのはなかなか大変ですが、若い人にとって、すごいチャンスだと思うんです。むしろ若い人であればあるほど、新しいものを柔軟に取り入れて、次代の弁護士の働き方や仕事の中身に適用していくのは得意なはずです。ぜひ弁護士という仕事を目指してほしい。そして付け加えるなら、BMは変化していく状況に対応できるパワーがある事務所です。ぜひ関心を持って、私たちの仲間になってほしいですね。

(座談会実施日 2021年3月29日)

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